2010/04/01

3.過去の公害の実態と問題点その1

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1.公害の実態

  公害は、自然災害と異り、人類の生産活動や日常生活の遂行などに伴って生ずる現象であって、人及び、動・植物の快適な生活環境を奪う、社会的に有害な影響を及ぼすものである。
しかもその影響は、一般的に生物的弱者から始まると言えるだろう。
 たとえば都市における大気汚染は、まず、周辺の汚染に弱い植物に現れ、水の汚染は、魚介類、水鳥などの大量死や奇形、さらに人間の場合は、抵抗力の低下している病人、老人、子供がまず健康を害する。


 公害は、個々の発生源からの汚染を個別的にみれば、ほとんど影響を生じない場合であっても、大気を汚染し、水を汚染し、土壌を汚染し、食物を汚染し、人間が生きるためのあらゆる環境を、静かに、だが確実に汚染し、それが数多く集積することによって重大な影響を及ぼすことになる。
 それらはごく微量でも長期的に、単独または複合的汚染により、体内の奥深く進入し、ホルモンを撹乱し、遺伝子を傷つけていくのである。

 
 公害が及ぼす影響は多種多様である。人間の健康や居住環境に対してはもちろん、動植物や物的資産等生活環境にも及び、その影響の範囲は、今や「環境破壊」と言う名で、地球規模にまで拡大している。
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