( 2019.02.19 )
● 岐阜県の養豚場で豚コレラの感染が26年ぶりに確認
昨年(2018年)9月、岐阜県の養豚場で豚コレラの感染が26年ぶりに確認された。(岐阜県及び愛知県では、ブタだけでなく野生のイノシシでも感染が確認されている。)
2018年(平成30年)9月9日、岐阜県岐阜市の養豚場において、家畜伝染病である豚コレラ発生が確認されました。その後、2019年(平成31年)2月19日までに岐阜県・愛知県・長野県・滋賀県・大阪府において発生が確認されています。
1.1例目(9月9日)
所在地:岐阜県岐阜市
飼養状況:繁殖豚(79頭)、肥育豚(531頭)
2.2例目(11月16日)
所在地:岐阜県岐阜市
施設概要:岐阜市が管理する農業公園内で飼養
飼養状況:肥育豚(4~5か月齢、2頭)、子豚(約1か月齢、21頭)
3.3例目(12月5日)
所在地:岐阜県美濃加茂市
施設概要:岐阜県畜産研究所
飼養状況:繁殖豚(67頭)、子豚(424頭)
4.4例目(12月10日)
所在地:岐阜県関市(3例目の発生施設から約12km離れた施設)
飼養状況:いのしし(22頭)
5.5例目(12月15日)
所在地:岐阜県可児市
施設概要:岐阜県立の岐阜県農業大学校(3例目発生施設の搬出制限区域内)
飼養状況:肥育豚(7頭)、繁殖豚(3頭)
6.6例目(12月25日)
所在地:岐阜県関市
飼養状況:繁殖豚(871頭)、肥育豚(6,676頭)
7.7例目(1月29日)
所在地:岐阜県各務原市
飼養状況:繁殖豚(127頭)、肥育豚(1,535頭)
・関連と畜場
所在地:岐阜県岐阜市
飼養状況:係留(149頭)
・関連農場
所在地:岐阜県本巣市
飼養状況:肥育豚(867頭)
8.8例目(2月6日)
所在地:愛知県豊田市
飼養状況:5,620頭
・関連農場a
所在地:愛知県田原市
飼養状況:肥育豚(1,495頭)
・関連農場b
所在地:長野県上伊那郡宮田村
飼養状況:肥育豚(2,444頭)
・関連と畜場
所在地:長野県松本市
飼養状況:係留(38頭)
・関連農場c
所在地:岐阜県恵那市
飼養状況:親豚(121頭)、子豚(4,163頭)
・関連農場d
所在地:大阪府東大阪市
飼養状況:肥育豚(737頭)
・関連農場e
所在地:滋賀県近江八幡市
飼養状況:肥育豚(699頭)
9.9例目(2月13日)
所在地:愛知県田原市
飼養状況:繁殖豚(130頭),肥育豚(1,050頭)
・関連農場
所在地:愛知県田原市
飼養状況:13,420頭
10.10例目(2月19日)
所在地:岐阜県瑞浪市
飼養状況:5,775頭
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● 豚コレラとは
豚コレラ(別名:とん-コレラともいう)は、豚コレラ・ウイルスの感染によるブタの急性熱性敗血症性の伝染病で、感染力が強く、死亡率も極めて高い事から、家畜法定伝染病に指定されている。 ただし、人には感染しないと言われている。
豚やイノシシ特有の伝染病で、一般には接触感染・経口感染で消化器または呼吸器からの経路で侵入すると言われ、養豚場などでは、豚のフン尿や血が付いた衣服や長靴などを介しても拡散するとみられている。
一般に5~7日の潜伏期を経て、40~41.5℃の高熱を発し、結膜炎,便秘,ついで下痢となり,ふらつき、歩行・起立不能となって、四肢のけいれん、出血斑(はん)、肺炎などを併発し、急性死(7〜10日でほとんどが死亡)する。
現在のところ、ワクチンによる予防接種が有効とされているが、発症に対する治療としては有効な薬物はなく、豚コレラの発生があれば、家畜伝染病予防法(昭和26年法律第166号)および特定家畜伝染病防疫指針に基づき、殺処分による防疫措置がとられることになる。
国内では1887年(明治20年)、米国から北海道へ輸入された豚で初めて発生が報告された。 終戦後には、毎年5000〜25000頭が発病していたが、その後、ワクチン接種の徹底を図るなどした結果、1992年の熊本での感染を最後に発生は確認されていなかったが、ワクチンを接種すると自然感染との区別ができないため、1996年度よりワクチンを用いない防疫体制を目指して「豚コレラ撲滅対策事業」を進め、段階的にワクチン接種を減らし、2006年にはワクチン接種を完全に中止する事ができた結果、2007年以降、国際獣疫事務局(OIE)の規定に基づき、ワクチン接種をしない「豚コレラ清浄国」と認められていた。
現在、清浄国は35カ国が認定されていて、アジアで清浄国に認定されているのは、日本だけである。 しかし、今回の岐阜での発生を受けて、9月以降、「豚コレラ清浄国」のステータスは中断された。
EU加盟国では、1990年にワクチン接種が禁止され、ほとんどの国が清浄国になったが、バルト海沿岸国(ラトビアとリトアニア)ではイノシシからの感染が続いている。
また、世界最大のブタ肉輸出国である米国は40年以上、カナダは50年以上清浄国になっている。北米自由貿易協定を結んでいるメキシコは、2015年に清浄国に認定されている。
今回、26年ぶりに国内(岐阜県で発生した豚コレラ)で確認された豚コレラ・ウイルスは、モンゴルで2014年、中国で2015年に、それぞれ分離されたウイルスと遺伝子構造が良く似ていると言われ、豚肉など畜産物の輸入、旅行者による畜産物の違法な持ち込みなどを介して侵入した可能性もあると言われている。
尚、農林水産省のWEBサイト(担当:消費・安全局動物衛生課)によると、
「 豚コレラは、豚やいのししの病気であって人に感染することはなく、仮に豚コレラにかかった豚の肉や内臓を食べても人体に影響はありません。 また、感染豚の肉が市場に出回ることはありません。」・・・・ 更新日:平成31年2月19日
と記されている。
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・ 2019年・国内の豚コレラによる殺処分状況
(2019年02月19日現在)
豚コレラ・感染地域
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件 数
|
殺処分数
|
岐阜県 |
(11件)
|
( 頭)
|
・岐阜市:養豚場 (09/09) |
1
|
頭
|
・岐阜市: (11/16) |
1
|
頭
|
・美濃加茂市: (12/05) |
1
|
頭
|
・関市: (12/10) |
1
|
頭
|
・可児市: (12/15) |
1
|
頭
|
・関市: (12/25) |
1
|
頭
|
・各務原市: (01/29) |
1
|
頭
|
・岐阜市: (01/29) |
1
|
頭
|
・本巣市: (01/29) |
1
|
頭
|
・恵那市: (02/06) |
1
|
頭
|
・瑞浪市: (02/19) |
1
|
頭
|
・ : ( / ) |
頭
|
|
愛知県 |
(4件)
|
( 頭)
|
・豊田市: (02/06) |
1
|
頭
|
・田原市: (02/06) |
1
|
頭
|
・田原市: (02/13) |
1
|
頭
|
・田原市: (02/13) |
1
|
頭
|
長野県 |
(2件)
|
( 頭)
|
・宮田村: (02/06) |
1
|
頭
|
・松本市: (02/06) |
1
|
頭
|
大阪府 |
(1件)
|
( 頭)
|
・東大阪市: (02/06) |
1
|
頭
|
滋賀県 |
(1件)
|
( 頭)
|
・近江八幡市: (02/06) |
1
|
頭
|
合 計
|
19件
|
( 頭)
|
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2019年度の豚コレラ感染状況
( 2019.02.19 )
● 愛知県の養豚業者、豚コレラ懸念でブタ焼却か!
19日未明に、愛知県愛西市の養豚場でブタ数頭を業者が燃やして処分していたことがわかり、愛知県は、豚コレラへの感染を懸念して死んだブタを焼却した可能性もあるとみて調べている。19日午前1時すぎ、愛西市の養豚場で、「何かが燃えていて異様なにおいがする」などと、近くをとおりかかった人から消防に通報があり、消防車が出て消火にあたったところ、敷地の一角でブタ数頭が燃やされていたという。
養豚業者の男性は駆けつけた警察官に対し、死んだブタだとしたうえで「豚コレラの疑いもあるので焼却した」という趣旨の説明をしたという。
死んだ家畜は、専用の施設に運んで焼却などをすると法律で定められていて、県は豚コレラへの感染を懸念した男性が、ブタを焼却した可能性もあるとみて調べている。
( 2019.02.19 )
● 岐阜県瑞浪市でも「豚コレラ」発生、5775頭を殺処分へ!
岐阜県は2月19日、県内瑞浪市の養豚場で、家畜伝染病「豚コレラ」が発生した、この養豚場で飼育されている豚、5,775頭を殺処分する。
岐阜県は19日、瑞浪市の養豚場で家畜伝染病「豚コレラ」が発生したと発表した。県は飼育している豚、約6000頭を殺処分する。家畜の豚・イノシシの感染が確認されたのは、愛知県などの事例を含め、昨年9月以来、国内で10例目。岐阜県内では、愛知県の発生養豚場から子豚を仕入れたケースを除けば、1月29日に確認されて以来約3週間ぶり。
岐阜県は今月18日、食欲不振の豚がいるとの連絡があった瑞浪市の養豚場に立ち入り検査を実施し、3頭の豚が死んでいるのを発見。精密検査の結果、19日に複数の豚から陽性反応が出た。
岐阜県はまた、この養豚場から名古屋市の卸売市場へ約100頭の豚が17日に出荷されたことを確認。既に愛知県に伝えたという。
( 愛知県・豚コレラに関する情報 )
1.豚コレラの発生について
・(1例目)岐阜県岐阜市の養豚場
平成30年9月9日(日曜日)に豚コレラの発生が確認されましたが、10月10日(水曜日)午前0時に移動制限が解除されました。
・(2例目)岐阜県岐阜市の岐阜市畜産センター公園
平成30年11月16日(金曜日)未明に豚コレラの発生が確認されましたが、12月15日(土曜日)午前0時に移動制限が解除されました。
・(3例目)岐阜県美濃加茂市の岐阜県畜産研究所
平成30年12月5日(水曜日)午前5時30分に豚コレラの発生が確認されましたが、平成31年1月5日(土曜日)午前0時に移動制限が解除されました。
・(4例目)岐阜県関市のイノシシ飼養施設
平成30年12月10日(月曜日)午前11時30分に豚コレラの発生が確認されましたが、平成31年1月9日(水曜日)午前0時に移動制限が解除されました。
・(5例目)岐阜県可児市の岐阜県農業大学校
平成30年12月15日(土曜日)午後8時30分に豚コレラの発生が確認されましたが、平成31年1月14日(月曜日)午前0時に移動制限が解除されました。
・(6例目)岐阜県関市の養豚場
平成30年12月25日(火曜日)午前5時30分に豚コレラの発生が確認されましたが、平成31年1月26日(土曜日)午前0時に移動制限が解除されました。
・(7例目)岐阜県各務原市の養豚場
平成31年1月29日(火曜日)午前7時に豚コレラの発生が確認され、1月31日(木曜日)午前7時に発生農場(各務原市)及びと畜場(岐阜市)の防疫措置(殺処分、汚染物品の埋却、消毒等)が完了しました。
(7例目の疫学関連農場)岐阜県本巣市の養豚場
7例目の養豚場から子豚を導入した養豚場において、1月30日(水曜日)午前3時30分に豚コレラの疑似患畜が確認され、1月31日(木曜日)午前3時13分に殺処分が完了しました。
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2.野生イノシシ豚コレラ検査について
平成30年12月19日(水曜日)、12月24日(日曜日)、12月28日(金曜日)、平成31年1月16日(水曜日)、1月27日(日曜日)及び1月28日(月曜日)に愛知県犬山市で回収した野生イノシシ計8頭について、豚コレラ遺伝子検査(PCR検査)陽性が確認されました。
岐阜県では、平成31年1月28日までに岐阜市、各務原市、関市、可児市、山県市、美濃加茂市、多治見市、坂祝町、八百津町、川辺町及び御嵩町の野生イノシ108頭(死亡39頭、捕獲69頭)で豚コレラ遺伝子検査(PCR検査)が陽性となっています。
全国で死亡等野生イノシシの豚コレラ検査を実施していますが、岐阜県及び愛知県以外で豚コレラ陽性は確認されていません。(37府県 159頭で実施、すべて陰性(1月29日(火曜日)時点))
( 愛知県・アフリカ豚コレラに関する情報 )
1.アフリカ豚コレラの発生について
~我が国に侵入するリスクが極めて高く、危険な状況にあります~
アフリカ豚コレラは、平成19年以降ロシアや欧州において発生が継続しています。
東アジアにおいては、平成30年8月3日に中国の遼寧省瀋陽市(りょうねいしょう しんようし)の養豚農場で初めて本病の発生が確認され、平成30年11月16日には吉林省の死亡野生イノシシでアフリカ豚コレラウイルスの感染が確認されました。
さらに、平成31年1月9日にはモンゴルのボルガン県の裏庭農場で初めて本病の発生が確認されました。
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2.中国・モンゴルのアフリカ豚コレラ発生状況
<中国>
平成31年1月22日までに以下の地域で発生が確認されています。
・ 4直轄市:天津市(てんしんし)、重慶市(じゅうけいし))、上海市(しゃんはいし)、北京市(ぺきんし)
・ 19省:遼寧省(りょうねいしょう)、安徽省(あんきしょう)、湖南省(こなんしょう)、浙江省(せっこうしょう)、貴州省(きしゅうしょう)、吉林省(きつりんしょう)、山西省(さんせいしょう)、雲南省(うんなんしょう)、河南省(かなんしょう)、江蘇省(こうそしょう)、黒龍江省(こくりゅうこうしょう)、湖北省(こほくしょう)、江西省(こうせいしょう)、福建省(ふっけんしょう)、四川省(しせんしょう)、 陜西省(せんせいしょう) 、青海省(せいかいしょう)、広東省(かんとんしょう)、甘粛省(かんしゅくしょう)
・ 2区:内モンゴル自治区、寧夏回族自治区(ねいかかいぞくじちく)
計121か所(110農場、4施設、6村、死亡野生イノシシ1か所)
<モンゴル>
平成31年1月28日までに以下の地域で発生が確認されています。
・ オルホン県、ボルガン県、トゥブ県、ドンドゴビ県、ダルハン・オール県、セレンゲ県
計9農場
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3.携帯品からのアフリカ豚コレラウイルス遺伝子の検出について
平成30年10月1日(月曜日)に北京から新千歳空港に到着した旅客の携帯品(豚肉ソーセージ)、平成30年10月14日(日曜日)に上海から羽田空港に到着した旅客の携帯品(非加熱の自家製餃子)及び平成30年11月9日(金曜日)に大連から成田空港に到着した旅客の携帯品(豚肉ソーセージ)からアフリカ豚コレラ遺伝子が確認されましたが、いずれの事例からもアフリカ豚コレラウイルスは分離されませんでした。
さらに、平成31年1月12日(土曜日)及び16日(水曜日)に中国から持ち込まれた豚肉製品4件(中部空港3件、羽田空港1件、いずれもソーセージ)からアフリカ豚コレラウイルスウイルス遺伝子が確認されました。現在、国の検査機関において、感染力のあるウイルスが存在するかを確認する検査を実施中です。
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4.養豚農家・関係者の皆さまへ
養豚農家、関係者の皆さまにおかれましては、次の事項について留意してください。
・ 生肉を含む又は含む可能性がある飼料を給与する場合は、加熱処理(70℃以上30分間以上、又は80℃以上3分間以上)が適切に行われたものを用いてください。
・ 突然死(死亡率は100%近く)、発熱(40~42℃)、食欲不振、粘血便、チアノーゼ等のアフリカ豚コレラを疑う症状が見られた場合は、速やかに家畜保健衛生所まで通報をお願いします。
・ 外国人作業者が従事している場合は、発生国から肉製品等を持ち帰らない・持ち込まないようにしてください。
養豚農家・関係者におかれましては、アフリカ豚コレラ発生国への渡航自粛をお願いします。
渡航された場合でも、畜産農場など関連施設へは立入らないようにしてください。また、肉製品等の持ち帰りは堅く禁じられています。
(参考情報)
農林水産省 HPページ
・ 豚コレラについて
・ アフリカ豚コレラについて
・
動物検疫所 HPページ
・ 海外からの肉製品の持ち込みについて
愛知県 畜産課 HPページ
・ 豚コレラについて