2016/12/23

中国公安省、海外NGOの活動規制強化!


(2016.12.23)

● 中国公安省、海外NGOの活動規制強化、来年1月から新法施行へ


中国公安省は20日、国内で活動する海外の非政府組織(NGO)を対象とした新法が来年1月に施行されるのを前に、法的な助言から男女平等まで、海外のNGOの活動が認められる分野のリストを公表した。

習近平政権は、国家の治安向上を理由に、サイバーセキュリティー法を先月可決したほか、海外のNGOに対する規制も強化している。

社会活動や環境保護団体を含む海外のNGOの中には、不注意に新法に違反する恐れがあると懸念し、解散する組織もある。

公安省によると、法律支援や法務教育などの活動は許されるが、司法省の指導を受ける必要があるという。

気候変動や湿地帯保護など一般的にあまり政治的ではない分野はリストに含まれていたが、「人権」についての言及はなかった。

政府は先月、新法に関して2度にわたり声明を発表。1度目で新法適用に当たりNGOに猶予期間はないと語り、次に資金源の詳細を示す必要があるとつけ加えた。




(2016.08.22)

● 中国、共産党によるNGO管理を強化


 中国国務院(内閣に相当)と共産党の中央弁公庁は21日、国内の非政府組織(NGO)に対し、組織内に共産党委員会の設置を義務化する新たなガイドラインを発表した。

ガイドラインは、社会団体に関与する人物について政治的な思想教育を強化し、党の形成を積極的に支援するように導くとしたほか、NGOの監督は同委員会の日々の業務の中でも優先事項となると指摘した。

また、中国民政省が悪質または違法な行為を行う組織の一掃を担当するとした。

同省は今月に入り、NGOに対する資金源や構成員の報告義務化などを盛り込んだ新規則の草案を公表した。

中国では4月に外国のNGOに対する規制を強化する法案が可決された。西側諸国の政府や人権団体は、この法律がNGOを犯罪の脅威として扱っており、事実上多くの団体を国外追放することになると反発している。







ナイジェリアで中国から密輸の「プラスチック米」押収!


( 2016.12.23 )

● ナイジェリアで中国から密輸の「プラスチック米」102袋を押収!


 12月21日、クリスマスから新年にかけての大型連休を前に、主食のコメの価格が急騰しているナイジェリアの当局は、中国から密輸されたプラスチック製の偽米、計102袋を押収し、容疑者1人を逮捕したと発表した。

 問題の「プラスチック米」を食べるのは人体に有害だと警鐘を鳴らしている。

 ナイジェリアの最大都市・ラゴスの税関幹部によると、この「プラスチック米」は19日にラゴス州イケジャで押収された。 中国から海路でラゴスに密輸されたとみられるという。

 「プラスチック米」が50キロ入った袋には「ベスト・トマト・ライス」との商品名が記載されていたが、製造年月日は明記されていなかった。
 イケジャ地区の税関責任者モハメド・ハルナ氏は、押収した「プラスチック米」を分析した結果について、「炊くと、のり状になった。 人が食べたらどうなるのかは、神のみぞ知ることだ」と話したという。

 ナイジェリアは、主食であるコメの生産増をかかげ、外国産米の輸入を禁じている。 しかし、国内では急速に進むインフレの影響でコメ価格が急騰。 コメ50キロの店頭価格は約2万ナイラ(約7500円)と、1年前の2倍以上に跳ね上がった。

 11月のインフレ率は、高騰する食料価格に押し上げられて18.5%に達し、13か月連続で上昇している。


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 プラスチック製の偽米は、以前から中国・国内でも問題になっていた。 アメリカに次ぐ経済大国となった中国だが、食の安全をめぐる問題が後を絶たない。

 食品でも世界最悪の犯罪大国が、GNP世界第2位と自慢げに世界中に汚物・悪臭をまき散らす。









2016/12/15

韓国で「H5N6」型鳥インフルエンザ、再び拡大へ(韓国)


( 2016.12.15 )

● 韓国の「高病原性・鳥インフルエンザ」拡大中(続報)! 


(2016年11月以降の韓国における高病原性鳥インフルエンザ(H5N6亜型)の状況)

2016年12月15日現在
地  名
件 数
合 計
京畿道  
 (40件)
 ・楊州(ヤンジュ)市
3 
 
 ・抱川(ポチョン)市
12 
 
 ・利川(イチョン)市
12 
 
 ・安城(アンソン)市
4 
 
 ・平沢(ピョンテク)市
2 
 
 ・華城(ファソン)市
2 
 
 ・楊平(ヤンピョン)郡
1 
 
 ・驪州(ヨジュ)市
3 
 
 ・龍仁(ヨンイン)市
1 
 
江原道  
 (2件)
 ・鉄原(チョルォン)郡
2 
 
忠清南道  
 (18件)
 ・牙山(アサン)市
8 
 
 ・天安(チョナン)市
10 
 
忠清北道  
 (72件)
 ・陰城(ウムソン)郡
39 
 
 ・清州(チョンジュ)市
6 
 
 ・鎮川(チンチョン)郡
23 
 
 ・槐山(クェサン)郡
3 
 
 ・忠州(チュンジュ)市
1 
 
世宗特別自治市  
 (9件)
全羅北道  
 (9件)
 ・金堤(キムジェ)市
1 
 
 ・井邑(チョンウプ)市
5 
 
 ・高敞(コチャン)郡
1 
 
 ・扶安(プアン)郡
2 
 
全羅南道  
 (7件)
 ・海南(へナム)郡
1 
 
 ・務安(ムアン)郡
1 
 
 ・羅州(ナジュ)市
4 
 
 ・長城(チャンソン)郡
1 
 
合   計
  
(157件)

(家きんの確認件数)
家きんでの確認件数合計
 
(157件)
 ・あひる
84 
 
 ・鶏
71 
 
 ・うずら
2 
 

( 殺処分羽数:278農場 1,231万4千羽 )




( 2016.11.30 )

● 韓国で「高病原性・鳥インフル」拡大=46カ所、200万羽殺処分 


 今年になり、韓国では「H5N6型」・鳥インフルエンザの鳥やアヒルなどの家禽(かきん)類への感染が拡大している。

 韓国では、11月中旬頃より、毒性の強い「H5N6型」の鳥インフルエンザウイルス感染が確認されたことで、関係機関による家禽(かきん)類の殺処分や移動制限といった防疫態勢を強化している。

 11月30日までに韓国全土の農場など46カ所で感染が確認され、これまでに約200万羽の鶏やアヒルが殺処分された。 韓国・農林畜産食品省報道官は、「さらに100万羽を殺処分することになる」と明らかにしている。

 またわが国でも、冬季越冬のためシベリアからの渡り鳥は、朝鮮半島を経由して日本に来ることが多く、過去にも韓国で鳥インフルエンザが流行した後に日本でも感染が確認されていることから、日本政府も国内へのさらなる感染拡大が懸念され、警戒を強めている。



 韓国保健当局は、人への感染は起こっていないと強調。ただ、中国では2014~16年に「H5N6型」ウイルスの感染で6人が死亡している。  世界保健機関(WHO)はこれまで、同型ウイルスの人への感染を警告しつつも、「人から人への継続的感染はない」と指摘しているが、感染した鳥と濃厚な接触を持つことにより、ウイルスが変異することで人にも感染する危険性があり、新型インフルエンザの中には、鳥のインフルエンザ・ウイルスが変異し、人へから人へと感染を拡げ、人類の脅威となった事例が報告されている。









2016/12/13

中国・名物「上海ガニ」の深刻な薬物汚染


( 2016.12.13 )

● 日本産「モクズガニ」を中国人が“爆買い”、背景に上海ガニの深刻な薬物汚染


 中国人が日本の「モクズガニ」目当てに襲来し、爆買いしている。産地の1つ栃木県・那珂川では中国語が飛び交っているという。背景には、かの国に出回る「上海ガニ」の深刻な薬物汚染が…。

 栃木県北部、那須岳を源とし、関東随一の清流と呼ばれる那珂川。その中流域で最近、どういうわけか、やたらと中国語が飛び交っている。

 「彼らの目当ては今が旬のモクズガニです。東京の中華料理店の仕入れ担当の人から一般の人まで、中国系のお客さんが大勢訪れている。5、6キロ買っていく人も珍しくなく、昼過ぎに在庫がなくなってしまうこともしばしばです」

 そう話すのは、モクズガニを扱う地元の水産業者の従業員だ。

 モクズガニとは淡水域にすむ食用のカニで、同じく今が旬の上海ガニ(チュウゴクモクズガニ)と同属異種とされている。この従業員によると味もそっくりで、上海ガニが大好物の中国人にも支持されているという。

 モクズガニの相場は平均的なサイズの個体だと1キロ当たり3000円前後。一方の上海ガニは、「最も有名な産地である江蘇省陽澄湖産のホンモノなら、最低でも1キロ8000円くらいはする。

 さらに日本のお店で食べるとなると、その3~4倍」(ジャーナリストの周来友氏)というから、中国人が日本でモクズガニを爆買いするのもうなずける。

 ちなみに周氏が「ホンモノ」と強調するのは、中国ではニセ上海ガニの横行が問題となっているからだ。陽澄湖の上海ガニの年間漁獲量は2000トン強だが、インターネット上では陽澄湖産をうたう上海ガニが、毎年1万トン以上販売されているという。

 同時に、毒上海ガニも横行している。今年11月、香港の食品衛生当局は、江蘇省の業者らが持ち込んだ上海ガニから基準値を超えるダイオキシンが検出されたとして、約800キログラムを回収している。

 また同月、広東省在住の女性は、上海ガニを食べた直後に体調を崩して病院で検査を受けたところ、骨格筋が融解・壊死(えし)する横紋筋融解症と診断された。心筋障害・筋疾患を示す血中クレアチニンキナーゼの値は、基準値の180倍に達していた。

 ほかにも、中国ではここ2~3年の間に、上海ガニからカドミウムなどの重金属が検出される例が続出している。

 前出の周氏も「私もそうですが、中国ではここ数年は上海ガニを避けるという動きも広がっている」と話す。

 こうして広がる「上海ガニ不信」の一方、故郷の味を忘れられない中国人の間で、日本のモクズガニ人気が密かに広がっているようだ。 








2016/12/10

韓国「食の信頼」まで崩壊?


( 2016.12.10 )

● 有機食品に抗生物質、“硫酸風味”養殖海苔、食材の使い回し


 韓国で牛肉スープのレトルト食品が大問題となっている。有機食品で有名な「こだわりの店」が製造販売していた“高級品”が、「(エサに)抗生物質を使わず育てた牛の骨を使っている」とPRしながら、実は一度スープを取った後のダシガラ、しかも普通に抗生物質入りのエサを与えていた牛の骨を混ぜていたのだ。「看板に偽りあり」の韓国食品に対する信頼度は同国の政権並みに落ちているようだ。


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● 羊頭狗肉

 韓国SBSテレビ(電子版)が今月1日報じたところによると、問題の牛スープを製造販売していたのは、韓国の有名オーガニック食品専門店だ。100%無抗生物質の牛で作ったと誇らしげに表示し「即席韓牛コムタン(コムタンとは牛の骨や内臓を煮たスープ)」として販売していた。ところが、表記は真っ赤な嘘だったという。

 SBSによると、この店ではカルビタンスープを作った後の、いわゆるダシガラとなった骨を再利用し、無抗生物質の牛の骨などと混ぜて製造していたのだ。もちろんダシガラの牛は抗生物質のエサを食べた一般的な韓国牛だった。


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● “硫酸風味”の海苔

 今年4月には、のり養殖場で工業用塩酸と硫酸を大量かつ不法に保管していたとして、韓国の木浦警察が、のり養殖業者8人を水産資源管理法違反の疑いで検挙した。

 現地紙の全羅南道新聞(電子版)によると、同署は昨年11月から4月までの間に、青のりに付着している異物を取り除くための塩酸を約1万700リットル(ドラム缶約54本分)と、成長を促進させるための硫酸約2万5340リットル(同約127本分)を押収した。

 硫酸にのりの成長を促進させる効果があるのか否かについては同署は触れていないが、韓国ではそうした“効能”をうたって硫酸を販売する業者が存在し、問題となっている。

 もちろん韓国でも塩酸や硫酸は海に投棄してよいものではないが、そんな物質をのり養殖に多用するのが韓流スタイルのようだ。


 さかのぼれば、2011年12月には同じ全羅南道ののり養殖事業組合が、養殖漁業者向けに販売されている「栄養剤」の分析を専門機関に依頼したところ、硫酸と塩酸が検出されたと韓国内の多くのメディアが報じた。

 今回の8人の検挙を見れば、それから5年経っても塩酸や硫酸が日常的に韓国のりの養殖に使われていた可能性がある。

 安心できないのは食品だけではない。韓国では今年5月、加湿器に使う殺菌剤で1500人以上が死傷する事件が起きたが、9月にはこの殺菌剤に使われていた化学薬品(CMIT/MIT)が歯磨き粉にも含まれていたことが判明した。

 朝鮮日報(電子版)などによると、その数は10社の68種の歯磨き粉にのぼったという。


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● 結婚披露宴から大衆食堂まで、食品の「使い回し」は当たり前

 韓国では食品にまつわる不祥事はとどまることがない。最も問題視されているのは食品の「使い回し」で、一時はそうした不正を追及し暴露するテレビ番組が人気を博した。

 例えば韓国のテレビ局「チャンネルA」の「モッコリ(食べ物)Xファイル」では、結婚式の披露宴で出てくる1人3~5万円程度の高級料理での食材使い回しを紹介。

 「エビやサザエなど一度使用した食品を再利用するのは基本。肉や貝も急速冷凍しリサイクルし、一週間後の別の披露宴で出す」と指摘した。

 このほかにも2012年に韓国テレビ局MBCの「不満ゼロ」が、大衆食堂の人気メニューである骨付き肉のスープ「カムジャタン」を調査したところ、歯形がついていて明らかに誰かがかぶりついた骨付き肉を(おそらくダシとして)常習的に再利用していたことなどを紹介。

 「12カ所のカムジャタンを回収し細菌検査をした結果、11個から大腸菌を検出、3カ所は食中毒菌である黄色ブドウ球菌まで検出された」という。







2016/05/12

中国で「偽クラゲ」1トン押収!


( 2016.05.12 )

● 中国で、中国で「偽クラゲ」1トン押収!


 食の安全をめぐる問題が後を絶たない中国で、今度は人気食材のクラゲに偽装した「食品」が大量に流通し、警察が1トンを押収したことが分かった。
  人体に有害な物質も混じっていたとされ、健康障害を引き起こす恐れも出ている。

 偽装クラゲが最初に見つかったのは、沿海部浙江省の湖州市にある食品市場。 地元当局がこのほどウェブサイトを通じて明らかにしたもので、原材料は化学物質だったという。

 偽装クラゲには高濃度のアルミニウムも含まれていた。 長期にわたって摂取すると骨や神経に悪影響を与え、記憶障害や精神機能の低下を引き起こす恐れがあるものだ。

 店の仕入れ先となっていた江蘇省の業者らは、警察に摘発されるまでに計10トン以上を販売。 両者を仲立ちしていた2つのギャング団が計17万元(約280万円)以上を荒稼ぎしていたという。

 警察は2度の強制捜査で容疑者6人を拘束し、全容解明へ捜査をさらに進めているという。


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 中国では、未だに食の安全にはほど遠く、汚染食品が続々と発覚。

 2008年に、有害物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲んで乳児6人が死亡し、政府がメラニン入り乳製品の撲滅を誓った中国。

 その後も、汚染された食品が相次いで見つかり、食の安全性への不安が再燃するとともに、巨大で規制も緩い食品産業への政府の監視能力の欠如があらためて浮き彫りになっている。

 バクテリアにまみれたために暗闇でも光を放つようになった豚肉、発がん物質が入ったもやし、禁止された化学保存料を使った蒸しパン、重金属に汚染されたコメ、などなど。

 この年、吐き気を催したくなるほどの新聞の見出しの数々に、中国・中央政府も、製造業者の不道徳を非難する声明を発表するとともに、食品衛生に関する新たな規則を制定すると表明し、既存の食品衛生法が機能していないことを政府自身が認めた形になった。

 「食品安全性問題の原因は多い。 1つは、法制度が不完全であること。 不明瞭な規制が多いことが法の抜け道を作っている」との指摘もあるが、そもそも食の安全に対する意識の欠如、倫理観・道徳観の無さが、未だに食品問題が後を絶たない要因でもある。


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■ わいろで死肉も流通

 規制機関の不足が無数にある製造業者・小売業者の監視を負わされていることが、見落としや汚職につながっているとも指摘した。

 国営英字紙・環球時報によると、「豚肉ブローカー」たちは、違反に目をつぶってもらうために当局者に賄賂を払って、汚染された豚肉を流通させている。

 こうした慣行は、本来ならば廃棄されなければならない病死した豚の死骸が食用として流通ルートに乗る要因にもなっている。 専門家の話では、こうした死骸は毎年2000万~3000万頭ほど市場に出回っているという。

 そして、食品衛生法の起草にかかわった弁護士によると、当局者の収賄が発覚した場合でも、刑事責任には問われず、わずかな罰金で済まされてしまうことが多いという。


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■ 根絶したはずのメラミン入り粉ミルクが…

 そんななか、湖南省の村では、クレンブテロールという薬物に汚染されたと見られる豚肉による集団食中毒が発生し、286人が病院で手当を受け、うち91人が入院した。 クレンブテロールには豚肉の脂肪を減らす効果がある。

 また、重慶では、根絶されたはずのメラミン入り粉ミルクが26トンも見つかり、当局に押収された。








2016/03/11

WHO、中南米で「ジカ熱」拡大の可能性を指摘!


( 2016.03.11 )

● 愛知の30代女性(外国籍)、「ジカ熱」感染国内2例目! 


 厚生労働省は11日、ブラジルから帰国した愛知県に住む30代の外国籍女性の「ジカ熱」感染を確認したと発表した。 中南米で流行が始まった昨年以降、国内でジカ熱患者が確認されたのは、今年2月の川崎市の男子高校生に続き2例目でいずれもブラジルから帰国後に発症している。

 厚生労働省によると、女性は旅行でブラジルに約2週間滞在し、2月22日に帰国。3月7日に38度2分の発熱と発疹などの症状が出た。
 発疹が広がった10日に医療機関を受診し、11日に国立感染症研究所のウイルス検査で感染が確認されたもので、すでに熱は下がり、同居の家族にも今のところ症状の出た人はいないという。

 女性によると、滞在先のブラジルで複数回、蚊に刺されたと話しており、厚生労働省はブラジル国内で感染したとみている。

 国内では今の時期、「ジカウイルス」を媒介するとみられている蚊の活動期ではないことから、「感染拡大の可能性は極めて低い」としている。

 女性が医療機関を受診したのは症状が出てから3日後だったため、同省の担当者は「蚊の発生時期なら国内感染が広がるリスクもあった。

 今回も、帰国時の再入国検査では感染の確認は不可能であることから、「流行地への渡航者で症状が出た場合は、できるだけ早く医療機関を受診してほしい」と改めて注意を呼びかけている。




( 2016.03.06 )

● コロンビアのジカ熱患者、4万7700人超える! 


 コロンビアの国立衛生研究所は5日、同国のジカ熱の患者が妊婦8890人を含む4万7771人になったと発表した。

 先週だけで5065人の患者が新たに登録され、そのうち1237人は妊婦だった。妊婦がジカウイルスに感染した場合、胎児の重大な先天性異常「小頭症」発症との関連性が指摘されている。

 ジカ熱の症状は一般的に軽い場合が多く、多少の発熱や頭痛、関節痛などが挙げられる。しかし中南米では、爆発的に拡大中のジカウイルスが他の重い病気を引き起こす恐れもあると警告が発されている。

 小頭症の他にも、ジカウイルスは神経疾患のギラン・バレー症候群の原因となる疑いが持たれている。コロンビア国内ではこれまで282の自治体で感染者が発生しており、うち67%が女性だという。感染者が最も多い年齢は25~29歳で、総患者数の約14%を占めている。

 コロンビアでは昨年ジカウイルス感染が確認されて以来、ラテンアメリカの国としてはこれまでに約150万人の患者が報告されたブラジルに次いで2番目に多い患者が報告されている。衛生当局は、今年はコロンビアで60万人以上の感染者が発生するのではないかと予測している。




( 2016.02.28 )

● 仏で初の「ジカウイルス」性感染か! 


 フランスのマリソル保健相は27日、同国で初めて「ジカウイルス」の性感染の症例が確認されたと述べた。

 カップルはパリに居住しており、パートナーの男性がブラジルから帰国した後、相手の女性が感染したという。 女性は典型的な「ジカ熱」の兆候を示したが、入院はしておらず、体調は良好だという。

 世界保健機関(WHO)によると、これまでに世界46か国で「ジカウイルス」感染者が報告されていて、その中でもブラジルの感染者が最も多く、現在150万人の感染症例が報告されている。
 「ジカウイルス」を媒介する「ネッタイシマカ」は、おもに熱帯から温帯地域を中心とする130か国に生息しており、将来的には爆発的にウイルス感染が拡大する可能性があるとして、国際的な警鐘が鳴らされている。





( 2016.02.02 )

● 「ジカ熱」感染拡大でブラジル政府が妊婦の五輪観戦自粛を呼び掛け! 


 「ジカ・ウイルス」への感染が拡大しているブラジルの大統領・首席補佐官は、妊婦が感染すると胎児の脳に先天異常を引き起こす「小頭症」の原因となる恐れが指摘されていることから、半年後に迫った「リオデジャネイロ五輪」の観戦旅行を妊婦は避けるべきだとの見解を示した。

 一方で、妊娠していない成人の女性や男性については、感染しても5日間ほどで抗体ができて症状が治まるとして、五輪観戦を避ける必要はないとの見解を示した。

 このほか、英BBCによると、コロンビア、エクアドル、エルサルバドル、ジャマイカでは、「ジカ熱」と「小頭症」の関係が解明されるまで、妊娠しないように忠告しているという。

 また、米国疾病予防管理センター(CDC)は、1月26日、妊婦は感染地への渡航を控えるべきだと発表、さらに米ABCによると、ユナイテッド航空とアメリカン航空は、妊婦らに対して、渡航延期や返金に応じている他、感染地への渡航を取りやめに応じる航空会社もあるとの報道も。


 世界保健機関(WHO)は、「ジカ・ウイルス」感染拡大について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言している。




( 2016.02.01 )

● インドネシアでも「ジカ熱」感染者確認か! 


 インドネシアの「アイクマン分子生物学研究所」は1月31日、スマトラ島のジャンビ州在住の男性(27)が、「ジカ熱」に感染していることを発表。  この男性は海外への渡航経験がなく、研究所関係者は「(ジカ熱の)ウイルスがある程度の期間、インドネシアで広がっているとの結論に達した」と話している。

 同研究所の発表について、インドネシア保健省は特にコメントはしていない。


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(2月1日現在)

● 感染が確認された国・地域


バルバドス、ボリビア、ブラジル、コロンビア、 オランダ領キュラソー、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、仏領ギアナ、グアドループ、グアテマラ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、仏領マルティニーク、メキシコ、ニカラグア、パアマ、パラグアイ、プエルトリコ、サンマルチン、スリナム、米領ヴァージン諸島、ベネズエラ







( 2016.01.29 )

● 中南米で「ジカ熱」が拡大の可能性! 


 1月28日、世界保健機関(WHO)は、中南米とカリブ諸国で、感染症の「ジカ熱」が爆発的に広がっているとし、WHOの米国・地域事務局である汎米保健機構(PAHO)の伝染病担当責任者は、今後南米と北米で感染者が最大300万~400万人に上る可能性があると指摘した。

 また、米国・疾病対策センター(CDC)は、「ジカ熱」の流行地域に渡航した米国民31人の感染が確認されたとし、「米国内で限定的な流行が起きる可能性がある」と指摘した。

 WHOのチャン事務局長は、スイス・ジュネーブで開いた特別会合で、「現時点では域内23カ国・地域で感染例が報告され、警戒レベルは非常に高い」と指摘。 さらに、2月1日に緊急会合を開催し、対応策をまとめる事を明らかにした。


 ブラジルでは、今年8月に「リオ五輪」が予定されている。国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は、IOCが「ジカ熱」に関するガイドラインを週内に公表すると述べた。


● 「ジカ熱」とは、 


 「ジカ熱」は、蚊を媒介とする「ジカ・ウィルス(ZIKV)」によって引き起こされるヒトへの感染症で、ウィルスの存在は、1947年から知られていたが、感染の報告は従来ほとんどなく、2007年にミクロネシア連邦のヤップ島で、島民の約7割が感染したアウトブレイク(大規模感染)が起こったことで、初めて広く認知されるようになった。

 2013年11月には、仏領ポリネシアでアウトブレイクが発生し、患者数は数万人にも及ぶとされた。 また、2014年1月に、仏領ポリネシアから帰国した日本人が「ジカ熱」を発症し、日本国内における輸入感染症として、初の症例となった。

症状としては、「発熱・発疹・筋肉痛・下痢・浮腫など」で、「デング熱」に類似している。
また、「ジカ熱」の病名で呼ばれているものの、時に発熱の症状を伴わないこともある。

 現在、「ジカ熱」に対するワクチンや有効な治療薬は開発されていないが、適切に治療すれば死亡率が1%未満とされる「デング熱」よりも症状が軽いため、生命の危険はほぼないとされている。
 4~7日程度で完全に回復し、発症しても病院に行かない人も多いという。 また、一度「ジカ熱」に感染すると体内で抗体が産生されるため、二度と罹ることはないといわれる。

 まだ研究が進んでおらず、ワクチンなどは開発されていない。

 「ジカ熱」のアウトブレイクや感染を防ぐために、媒介となる蚊(ネッタイシマカやヒトスジシマカなど)の防除や水溜まりなどの産卵場所の除去、虫刺されへの注意喚起などの手段がとられている。


● 「ジカ熱」と「先天的・小頭症」との関連は、


 ブラジルでは、先天的に頭部が小さい「小頭症(しょうとうしょう)」の新生児が増加していることと、「ジカ熱」感染拡大(妊婦・妊娠期間中の感染)に関連があるとの見方も出ているが、世界保健機関(WHO)の事務局長は、「現在、われわれは小頭症との関連を示す科学的な証拠を待たないが、直ちに行動に移す必要がある」と指摘している。

 小頭症にかかった胎児は、頭部が異常に小さい状態で生まれ、運動発達の遅延や知能低下等の障害が随伴する場合がある。 ブラジル保健省によると、同国における小頭症の発症例はかつて年間平均163件だったが、「ジカ熱」の感染拡大が始まって以降、3718件を超える疑い例が報告され、すでに新生児68人が死亡したという。

 現在、一部の国では、妊娠中の女性の中南米やカリブ海(Caribbean Sea)諸国への渡航 を控えることが奨励されている。

 また、アメリカの航空各社は、ジカ熱が流行している地域へ向かう便の航空券を購入した妊婦らについて全額払い戻しに応じるなど対応に乗り出している。









2016/01/25

タイでMERS感染者確認!


( 2016.01.24 )

● タイでMERS感染者確認! 


 今月24日、タイ保健省は同国を訪れた中東・オマーン人の男性(71)が中東呼吸器症候群(MERS)に感染していることを確認したと発表。

 タイでは、昨年(2015)6月にも同じオマーン人の男性(75)が、家族と共にタイに入国した際にMERSに感染していることが確認されたが、治療によりウイルス陰性が確認されたことで数週間後に退院し、幸いにも感染拡大には至らなかった。

 タイでMERS感染が確認されたのは、今回で2例目となったが、タイ保健省の声明によると、この男性はオマーンで発熱したが、同国の医師らが対処できず、22日にタイに入国した際に検査でMERS陽性反応が出たために、首都バンコクにある病院に隔離されたという。

 同省は、男性と接触した可能性のあるという250人以上の行方を追跡していて、このうちの37人がウイルスに感染している可能性が高いともしているが、詳細は明らかにしていない。


 また、韓国政府は、先月23日に、新たな感染者が確認されていないことから公式に終息を宣言したばかりだが、昨年186人がMERSに感染し、そのうち36人が死亡、ピーク時には1万7000人近くが自宅隔離の対象となり、多数の学校が休校となるなど国中がパニックに陥った。
 その結果、2012年に最初にMERSの感染が確認されたサウジアラビア以外の国としては最大の流行となった。








2016/01/21

エボラ出血熱!(続報)ギニアで終息か?


( 2016.01.21 )

● 終息宣言後のシエラレオネでエボラ熱の新たな感染者を確認!


 世界保健機関(WHO)と西アフリカのシエラレオネの保健当局は21日、シエラレオネでエボラ出血熱の感染者が新たに1人確認されたと発表した。先週の西アフリカのエボラ終息宣言から2例目となる。

 感染者は、12日にエボラで死亡した22歳の女子学生のおばにあたる女性(38)で、隔離施設で観察下に置かれていた20日に発症が確認された。



( 2016.01.15 )

● 終息宣言直後のシエラレオネで、エボラ感染疑いの女性死亡!


 西アフリカ・シエラレオネの保健当局は14日、同国北部で死亡した女性がエボラ出血熱に感染していた疑いがあると発表した。

 当局によると、12日にギニアとの国境に近い北部バモイルマで、女子学生1人が体調を崩して間もなく死亡した。初期診断検査でエボラウイルスの陽性反応が出たという。

 この発表の数時間前、世界保健機関(WHO)は西アフリカ地域でのエボラ出血熱流行の終息を宣言したばかりだった。



( 2015.12.30 )

● エボラ出血熱、ギニア終息か? WHOが宣言!


 世界保健機関(WHO)は29日、西アフリカ・ギニアでのエボラ出血熱感染が終息したと宣言した。 これにより、終息宣言が出されていないのはリベリアのみとなった。

 エボラ熱の潜伏期間は最長21日で、感染者がいなくなってから最長潜伏期間の2倍に当たる42日間、 新たな感染者が出ていないことから、WHOが終息宣言を出した。

 「エボラ熱感染」は、2013年12月にギニアで流行が始まり、昨年3月にエボラ熱と確認。 感染は主にギニア、リベリア、シエラレオネなどの西アフリカで拡大した。

 感染者が最多のシエラレオネでは先月、終息宣言が出されたが、死者数が最も多いリベリアでは、今年5月と9月の2度、終息宣言が出されたものの、その後に新たな感染者が発症したために、終息宣言が取り消されている。
 ただ、今月3日に最後の感染者が退院し、新たな感染者も確認されていないことから、このままいけば3度目の終息宣言が出される可能性もある。

 WHOによると、今回のエボラ熱流行では疑い例も含め2万8000人以上が感染し、1万1000人以上が死亡したとしている。



( 2015.07.31 )

● エボラ出血熱、予防ワクチンの開発で朗報となるか!


 世界保健機関(WHO)は今月31日、西アフリカのギニアで続けてきた「エボラ出血熱」のワクチン「VSV―EBOV」の臨床試験に関し、「目下のところ100%の効果を示している」と発表した。

 エボラ熱にはこれまで有効なワクチンや治療薬はないと言われていたが、今回、カナダ政府系研究機関が開発したワクチン「VSV―EBOV」が、エボラ出血熱対策で一大転換点となる可能性があると発表、WHOのチャン事務局長も、「極めて有望な進展だ」と発言している。

 現在、このワクチン「VSV―EBOV」の臨床試験は、エボラ出血熱の流行が続くギニアで行われ、患者と接触した4千人以上が参加し、中間結果ではあるが、「100%の効果」が確認されたと発表。

 ただし、最終的な結論を得るには、さらなる臨床試験や研究が必要だとも言われている。




( 2015.02.05 )

● エボラ出血熱、新規感染者数、今年初の増加!


 世界保健機関(WHO)は4日、ギニア、リベリア、シエラレオネの西アフリカ3か国で確認されたエボラ出血熱の1週間当たりの新たな感染者数について、1月最終週の感染者数が前週より増加し、今年に入って初めて増加に転じたと発表した。

 2月1日までの1週間で、エボラ熱感染の中心地となっている西アフリカ地域の3か国全体で新たに確認された感染件数は124件に上った。

  新規感染者に関する最新のデータによると、ギニアでは前週の30人から39人に、リベリアでは前週の4人から5人に、シエラレオネでは前週の65人から80人に、それぞれ増加しているという。

 最新の数字によると、世界全体ではこれまでに9か国で2万2525人がエボラウイルスに感染、うち死者は9004人に達したという。

 新規患者発生数の増加など、(エボラ出血熱への)対応はいまだに重大な難題に直面しているとWHOは述べている。





( 2014.12.21 )

● エボラ出血熱、シエラレオネ、リベリア、ギニアの3カ国で死者、7000人超す!


 世界保健機関(WHO)の19日付の統計によると、エボラ出血熱による死者(疑い例含む)は、西アフリカのシエラレオネ、リベリア、ギニアの3カ国で7373人、感染者は1万9031人に上っている。
 このうち大半がシエラレオネで確認されたもの、国連は全体としては感染の勢いが鈍化してきたとみているが、シエラレオネを中心に未だに感染拡大を続け、強い警戒を維持している。

 今回の感染は、今年2月頃にギニア、リベリアで感染確認されて以来、10か月を過ぎようとしているが、いまだ終息の目途は立っていない。




( 2014.10.17 )

● エボラ出血熱、スペインとフランスへ拡大か!


 スペインでは、リベリアと、シエラレオネで感染した2名の神父が帰国し、治療を受けていたがその後死亡、その際看護師として看護に従事していた女性が2次感染をした事が報告されたが、16日になり、エボラ出血熱が疑われる症状が新たに4人に確認されたと発表した。

 一人は最近リベリアに渡航していた神父で、さきに死亡した2名の神父と同じ団体で活動していた。 
 さらにパリからマドリード・バラハス空港に到着したエールフランス機内で16日、乗客の1人がエボラ出血熱の可能性がある症状を発症した。 スペイン国営放送局(RTVE)によると、体調の悪化したこの乗客は、ナイジェリア国籍で、ナイジェリアのラゴスから移動していたと言われている。

 残る1人は、カナリア諸島でウイルスへの感染が疑われる症状を示していて、保健当局によると、この他に2人が予防的監視のため病院に入院しているという。

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 また、フランスでは、エボラ熱に感染した人道活動家と接触した看護師1人が、2次感染した疑いでパリ近郊の病院に入院したと伝えた。
 
 看護師は、リベリアで感染後に先月帰国していた「国境なき医師団」のフランス人ボランティアと定期的に接触していたという。
 フランスの「ル・パリジャン」紙によると、看護師は高熱を出し、パリ郊外のオードセーヌにある自宅からベジャン軍病院に運ばれた。


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 国連のエボラ出血熱対策チーフ、アンソニー・バンバリー氏が14日、NYであった国連安全保障理事会に西アフリカからテレビ中継で参加し、「エボラ出血熱を今止められなかったら、世界は完全に未曽有の事態になる」と警告。

 世界保健機関(WHO)は15日、西アフリカで、疑い例を含む感染者数が8997人、死者数が4493人に達したと発表。医療従事者の感染者数は427人で、236人が死亡したといいます。エボラ出血熱の感染率は下がってきており、一部地域では拡散が抑止できているものの、米では医療関係者で2人目の感染が確認されるなど予断を許さない状態が続いています。

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( 2014.10.15 )

● エボラ出血熱、12月には新規感染がこれまでの10倍の週1万人にも!


 世界保健機関(WHO)は14日、西アフリカで流行しているエボラ出血熱の死者は感染者の70%に上っており、12月初旬には1週間の新規感染者数がこれまでの1000人から10倍の1万人に達する可能性があるとの見方を明らかにした。

 WHOのエイルワード事務局長補は、エボラ熱ウイルスは「依然として地理的に広がり」、一部の大都市では感染者の増加が続いていると述べた。エイルワード氏は、エボラ熱が現在感染の中心地となっているシエラレオネ、ギニア、リベリアと国境を接する国々にも広まる恐れがあり、特にコートジボワールが危険だと話した。

 WHOによると、疑い例を含めた感染者数は8914人、死亡者は4447人。この数字に基づくと、死亡率は50%弱だが、エイルワード氏は、患者を最初から最後まで見守った結果、実際の率は70%になると述べた。

 同氏はさらに、報告されている感染者数はこの3〜4週間、1週当たり1000人程度で、今週中にはこれまでの感染者数が9000人を超えるとみられると語った。


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( ドイツでも初の死亡者 )

 エボラ出血熱に感染し、ドイツ・ライプチヒの病院で治療を受けていたスーダン国籍の国連職員(56)が13日夜、死亡したことが明らかになった。 ドイツでエボラ熱による死者が出たのは初めて。

 リベリアで勤務していたこの男性は、当地の病院の隔離病棟で9日から治療を受けていた。

 同職員はエボラ熱の治療のためドイツに搬送された3人目の患者だった。ハンブルクの病院で治療を受けた1人目の感染者は回復し、退院した。 残る1人のウガンダ人医師は今月3日にドイツに搬送され、フランクフルトの病院に入院している。




( 2014.10.13 )

● エボラ出血熱、アメリカでも国内で初の感染か!


 米国で2人目(ただし国内で感染した初めて事例)のエボラ出血熱患者と診断されたのは、ベトナム系米国人看護師のニナ・ファムさん(26)であることが明らかになった。
 家族は敬虔(けいけん)なキリスト教徒で、ニナさんの職業を誇りに思う一方で健康を気遣っている。

 ファムさんは、米国で初めてエボラ出血熱の診断(リベリアで感染し、アメリカ入国後に発症したと推定される事例)を受けたリベリア出身のトーマス・エリック・ダンカンさん(42)(10月8日に死亡)の治療を手伝っており、週末にエボラ出血熱の検査で陽性判定を受けた。家族の広報を務める人物が13日に事実を認めた。

 ファムさんはダンカンさんが9月28日に病院に収容されてから10月8日に死亡するまで治療に当たっていた病院関係者の1人で、体温を観察するよう指示されていた。

その後、10月10日に軽度の発熱があり、自らの運転で勤務先のテキサス・ヘルス・プレスビテリアン病院に到着して以来、同病院で隔離されている。

 これらの病院関係者は全員、エボラ出血熱に感染するリスクは低いとみられていた。しかし、米疾病対策センター(CDC)が12日に行った検査でファムさんの感染が確認された。当局によると、ファムさんはダンカンさんの治療の際にはマスクやガウン、防護服、手袋を着用していたという。

 米疾病対策センター(CDC)のフリーデン所長は13日、米国はエボラ出血熱の感染防護策を見直すべきだと述べた。 CDCでは、医療従事者へのトレーニングの拡充を検討しているという。



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( エボラ懸念でスト、米空港の機内清掃員 )

 米ニューヨークのラガーディア空港で航空機客室の清掃を行っている労働者約200人は10月9日、エボラ出血熱に感染する不安があるとしてストを決行した。

 スト入りしたのはデルタ航空と契約しているエア・サーブ社の従業員で、ストの主催者はこれが24時間続くとの見通しを示した。

 清掃労働者は8日午後10時ごろに職場を放棄し、Dターミナルの外をデモ行進した。ストを組織したのはサービス従業員国際労働組合(SEIU)で、エア・サーブの従業員は今年初めにSEIUに加盟した。

 ストの主催者は、これが長期的な労働条件改善要求の一環で、エボラ熱不安で前面に躍り出たとしている。機内のごみなどを清掃する労働者は十分な保護を受けていないと話している。

 米連邦当局は8日、ニューヨークのジョン・F・ケネディ(JFK)空港やニュージャージー州ニューアークのニューアーク・リバティー国際空港など五つの空港で、西アフリカからの旅行者の体温測定を行う計画を発表した。



( 2014.10.08 )

● エボラ出血熱、スペインでも国内で初の感染か!


 スペイン政府は6日、マドリード近郊の病院でエボラ出血熱の治療にかかわっていた看護師の女性(40代)が感染したと発表した。 国内での感染だとすればアフリカ以外で初の事例とみられる。

 スペインでは、8、9の両月に、それぞれリベリアと、シエラレオネで感染した2名の神父が治療のため帰国してスペイン国内で治療を受けたものの死亡している事例が報告されていて、この女性は看護師として両方の事例の看護に携わっていたとされる。

 西アフリカで感染が分かって帰国治療するのとは別に、米国ではリベリア国籍の男性がアメリカに入国後に発症してた事例も報告されているが今回は、感染そのものがスペイン国内だった可能性があり、アフリカ大陸以外で初めてエボラ出血熱に感染したとみられている。

 この女性は、9月末にも体調不良を感じていたとも伝えられていて、感染の確認直前は休暇中だったという。

 尚、スペイン保健当局は7日、このほかにエボラ出血熱の感染が疑われる3人(この女性の夫、アフリカからの男性旅行者、女性看護師の3名)を新たに隔離したと発表した。
 いずれも、これまでのところエボラ熱への感染を示す症状などは見られておらず、経過観察中という。


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 ・ 「エボラウイルス」の感染経路としては、患者の血液、分泌物、排泄物や、唾液などの飛沫が感染源となり、死亡した患者からも感染するとされ、ウイルスの感染力は強いが、基本的に空気感染をしないため、感染者の体液や血液に触れなければ感染しないといわれ、そのため患者に近づかなければ感染することはないといわれている。

 今回の感染経路の詳細については、今のところ発表されていないようだが、感染が拡大している西アフリカの混乱した医療体制の中での看護スタッフへの感染ではなく、今回は医療体制の整っていると思われるスペイン国内での感染に、従来考えられている感染経路(接触感染)、以外の感染経路(空気感染など)の可能性がないのか危惧されるところである。




( 2014.10.03 )

● エボラ出血熱、アメリカ国内で初の感染者確認!


9月30日、アメリカ疾病予防管理センター (CDC) は、アメリカ国内で初めてエボラ出血熱の感染がテキサス州ダラスで確認されたと発表。 さらにダラスのテキサス・ヘルス・プレスビテリアン病院は、西アフリカのリベリアから入国した患者の一人がエボラ出血熱の検査を受けていることを発表した。

 患者はリベリア国籍の男性、リベリアからアメリカに住む家族を訪問するために、9月19日に現地を出発し、翌日の20日にアメリカへ到着したが、この間感染による症状はなかったという。

 24日になって感染の兆候が現れ始め、26日には受診のために病院を訪れたがエボラ出血熱と診断されることもなく、帰されたという。 2日後の28日になり、症状がさらに悪化し、救急車を要請、診断の結果感染が確認され、それ以降は隔離された環境に置かれているとのこと。
 
 26日の最初の受診後すぐに隔離されなかった理由について、アメリカ疾病予防管理センター (CDC) のフリ ードセン氏は「エボラ出血熱の症状は、発症初期においては、風邪など他の病気と非常に似通っているため」とは説明しています。

 なお、同じ旅客機に搭乗していた乗客には感染のリスクはないとのことですが、9月20日以降に感染者と接触した可能性がある人物については当局による追跡調査が行われ、感染の可能性が疑われるためテキサス州で監視対象となった人数が約100人に拡大したことを米疾病対策センター(CDC)が10月2日に明らかにした。

 また、9月23日には世界保健機関(WHO)と米疾病対策センター(CDC)は、西アフリカで流行しているエボラ出血熱について、対策を大幅に強化しなければ感染者数が急増する恐れがあると警告、CDCは、来年1月には感染者がリベリアとシエラレオネだけで最大140万人に達する恐れがあると予測している。

 尚、現在までに西アフリカ地域で報告されたエボラ出血熱の感染者はこれまで推定5800~6000人で、このうち2800~3000人超が死亡したとみられている。 しかしWHOは、状況が最も深刻なリベリアの統計がはっきりしておらず、この数字は実際より少ない可能性が大きいと警告した。 その理由として、リベリアの首都モンロビアの人口が密集しているスラム地域では、多くの遺体が近くの川に放り込まれた可能性があることなどを挙げ、感染の実態を詳細に把握できていない可能性があるとしている。




( 2014.09.07 )

● エボラ出血熱、死者2105人に1ヶ月で倍増、収束の兆しなし!


 世界保健機関(WHO)は5日、西アフリカ諸国で猛威を振るうエボラ出血熱による死者数(疑い例を含む)が2000人を超えたと発表した。

 WHOの9月5日時点の集計によると、疑い例を含む感染者数はギニア、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリア、セネガルの5カ国で3967人となった。うち半数以上の2105人が死亡した。
 死者数の内訳はリベリア1089人▽ギニア517人▽シエラレオネ491人▽ナイジェリア8人。

 8月9日時点の集計で死者数が1013人に達してから1カ月足らずで死者数が倍以上に拡大する事態となった。WHOは8月28日、感染を封じ込めるためのロードマップ(行程表)を発表したが、現段階では感染拡大に歯止めがかかっておらず制御不能状態といえる。

 国連の潘基文(バンキムン)事務総長は5日、「感染拡大が早すぎて、対応が追いついていない」と述べ、国連内外の機関の連携強化を目的とした危機対策センターを設置する方針を明らかにした。また、対策費として6億ドル(約630億円)の支援を国際社会に呼びかけた。

 WHOのキーニー事務局長補は5日、専門家会合後の記者会見で「多くの患者が出る一方、回復した者も多く、ほかの患者の治療のために血液や血清を提供できる」と述べた。回復した元患者の血液・血清にはエボラウイルスに対する抗体が含まれるため、この血液を感染者に輸血する治療法が使用できるとの見解を示したもので、1995年にコンゴ民主共和国で感染が起きた際には、この方法で8人が輸血を受け、7人が回復したとされている。 

 また、WHO専門家会合では、2種類のワクチンについて効果が期待されると判断した。11月までに欧米やアフリカの医療機関で安全性に関する臨床試験が実施され、結果を踏まえて、西アフリカ諸国での使用が認められる見通し。

 治療薬に関しては、富士フイルムホールディングス傘下の富山化学工業が開発したインフルエンザ治療薬「ファビピラビル」など8種類の新薬の有効性、安全性についても検証されたようだが結果は未発表、開発段階の米国製治療薬「ZMapp」についても、さらに試験が必要との見方を示した。


● 2014・エボラ出血熱・感染状況 (9月5日WHO 発表)

・ 死者数   : 2105人  (2014. 3/ ~9/5現在)
・ 感染者数  : 3967人  (2014. 3/ ~9/5現在の推定)


《 主な感染拡大国の累計感染者数/死亡者数(2014. 3/ ~9/5現在) 》
 
国  名
 感染者数(8/4)
 死亡者数(8/4)
 感染者数(9/5)
 死亡者数(9/5)
 ギニア
495
(363)
812
( 517)
 リベリア
516
(282)
1871
(1089)
 シエラレオネ
691
(286)
1261
( 491)
 ナイジェリア
(  1)
22
(   8)
 セネガル
(   0)
サウジアラビア
*  (1)
*  (1)
*  (1)
*(  1)
 累 計
1711
(932)
3967
(2105)
*サウジアラビアの死亡事例は、8/6現在で感染未確認の為、集計外です。
(参考資料:外務省 海外安全ホームページより







( 2014.08.07 )

● エボラ出血熱、医師、看護師までが感染、死亡者もでる!


  世界保健機関(WHO)は6日、西アフリカで感染が拡大しているエボラ出血熱による死者数が932人、感染が確認、あるいは疑われるケースは4日までに1711人に増加していると発表。

 リベリア政府の関係者は27日、医療支援団体のリベリア人医師が、エボラ出血熱で死亡したと明らかにした。今月に入りウガンダ人医師も死亡している。 さらに米国人医師もエボラの感染が確認されて集中治療を受けている。

 また、ナイジェリア保健省は6日、同国でエボラ熱により先月死亡した米国籍のパトリック・ソーヤー氏の治療に当たっていた看護師が死亡したと発表。別の5人もアフリカ最大都市でもあるラゴスの隔離病棟で治療を受けているとした。
 ラゴスの保健当局は、医師がストライキを行っており、ソーヤー氏に接触した70人を追跡するため、ボランティアが直ちに必要だと指摘。これまでに追跡できた人数は27人だとしている。

 一方、サウジアラビア保健省は、出張先のシエラレオネでエボラ熱に感染した疑いがもたれていた男性が6日に死亡したと明らかにした。

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 今回のエボラ熱流行は、ギニアの森林部で最初に確認され、隣国であるシエラレオネとリベリアに広がった。同3カ国は先週、ウイルス封じ込めを目指し、学校閉鎖や感染者の自宅の検疫などの強硬手段を取ると発表していた。

しかし、死者の数が最も急速に増加しているリベリアでは、院長がエボラ熱により死亡した病院が閉鎖されるなど、多くの住民がパニックに陥っており、首都モンロビアなどでは、亡くなった感染者の遺族らが政府当局の指示を無視し、遺体を適切な場所に移送するのではなく、路上に引きずり出し放置しているケースもあるという。
 同国のルイス・ブラウン情報相は、患者の家のウイルス除染と感染者の周辺人物の追跡も義務付けた規則が、一部の人に不安を与えているかもしれないと説明。
 「それゆえ、彼らは遺体を家から持ち出し、路上に置いている。彼らは自ら感染のリスクにさらしている」とし、「遺体は当局が収容するので、家の中に置いておくよう呼びかけている」と語った。

 リベリア当局はエボラ出血熱で亡くなった人の火葬を3日に開始し、また、4日夜からは、感染地域を封鎖するために軍部隊も派遣されたという。

 西アフリカの各国政府は、感染症に関する住民の知識不足や、遺体に接する旧来からの慣習などが、感染拡大の要因になっているとも言われ、ウイルス封じ込めのための対策強化に苦戦している。 また、西アフリカの感染地域内で感染した後に、航空機などで本国に帰国し、発症(症状が現れる)するケースなどが更なる感染拡大へとつながることが懸念されている。


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 流行に収束の兆しが見えない中、WHOは、専門家による緊急委員会の会合をスイス・ジュネーブで開き、緊急事態宣言の必要性や、試験段階にある治療薬の利用などについて検討を始めたが、医療従事者らからは封じ込めに向けた緊急支援を要請する声が相次いだ。

 緊急医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」のウォルター・ロレンツィ氏は「今回の流行は過去に例がなく、制御不能だ」とし、「現場では人員が今すぐにでも必要となっている。それはオフィスの中や会議室ではなく、ゴム手袋をはめた人たちだ」と訴えた。


● 2014・エボラ出血熱・感染状況 (8月6日WHO 発表)

・ 死者数   : 932人  (2014. 3/ ~8/4現在)
・ 感染者数  : 1711人  (2014. 3/ ~8/4現在の推定)

・ 主な感染拡大国の累計感染者数/死亡者数(2014. 3/ ~8/4現在)
 
国  名
 感染確認
 感染の疑い
 感染者総数
 (死亡者数)
 ギニア
351
144
495
(363)
 リベリア
143
373
516
(282)
 シエラレオネ
576
115
691
(286)
 ナイジェリア
(  1)
サウジアラビア
*  (0)
*  (1)
*  (1)
*(  1)
 累 計
1069
641
1711
(932)
*サウジアラビアの死亡事例は、8/6現在で感染未確認の為、集計外です。
(参考資料:外務省 海外安全ホームページより






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● 過去のエボラ出血熱・感染状況(1976~2012年)


発生年代
 国  名
 感染者数
死亡者数
 (死亡率)
1) 1976年
スーダン
284
151
( 53%)
2) 1976年
ザイール(コンゴ民)
318
280
( 88%)
3) 1977年
ザイール(コンゴ民)
(100%)
4) 1979年
スーダン
34
22
( 65%)
5) 1994年
コートジボアール
(  0%)
6) 1994年
ガボン
52
31
( 60%)
7) 1995年
ザイール(コンゴ民)
315
254
( 81%)
8) 1996年
ガボン
91
66
( 73%)
9) 1996年
南アフリカ
(100%)
10) 2000年
ウガンダ
425
224
( 53%)
11)2001~2002年
ガボン
65
53
( 82%)
12)2001~2002年
コンゴ
59
44
( 75%)
13) 2003
コンゴ
178
157
( 88%)
14) 2004年
スーダン
17
( 41%)
15) 2005年
コンゴ
12
10
( 83%)
16) 2007年
コンゴ民
264
187
( 71%)
17) 2007年
ウガンダ
149
37
( 25%)
18) 2008年
コンゴ
32
14
( 44%)
19) 2011年
ウガンダ
(100%)
20) 2012年
ウガンダ
31
21
( 68%)
21) 2012年
コンゴ民
57
29
( 51%)

* ザイールは現在コンゴ民主共和国 / コンゴはコンゴ共和国
* 1996年の南アフリカはガボンからの輸入症例(1人)






(参考資料、データ)

・ 厚生労働省検疫所ホームページ
  エボラ出血熱に関する対応について(情報提供)PDF版

・ 外務省 海外安全情報ホームページ
  西アフリカ地域のエボラ出血熱の発生状況(その4)/2014.08.07の情報

・ 国立感染症研究所ホームページ
  2014年第19号注目すべき感染症:海外の注目すべき感染症

・ WHO(世界保健機関)Disease Outbreak News サイト
  西アフリカ地域のエボラ出血熱に関連ニュース

・ 国境なき医師団日本 HPページへ  (医療支援団体)





( 2014.07.30 )

● エボラ出血熱、過去最悪の感染はなぜ起きたのか!


 アフリカ西部のギニア、リベリア、シエラレオネ、そしてナイジェリアへと拡大するエボラ出血熱の感染。「制御不能」となっている今回の流行ではすでに約700人が死亡、米国人医師2人を含む医療従事者も犠牲となった。

 感染拡大の根底には、医療従事者に対する信頼の欠如があると言えるかもしれない。

 エボラ出血熱は、感染者に接触したり、感染者の体液に直接触れたりして感染する。エボラウイルスは感染者の汗や血液、排泄物、吐しゃ物を介しても広がるため、適切な医療施設以外での封じ込めは困難だ。


 現在エボラ出血熱が流行しているアフリカ諸国では、患者は、地元の医療制度を信頼していない。それには相応の理由がある。クリニックや病院は職員が不足しており、医薬品や治療設備も不十分だからだ。困難な労働条件下では医療従事者の士気も低い。そうした状況にあるため、人々は伝統的治療法に頼っている。伝統療法はウイルスを退治することはできないかもしれないが、現代医療が見落としがちな気遣いと共感を与えてくれる。

 エボラ出血熱の流行に見舞われた地域社会では、外国人医師も信頼していないし、場合によっては、彼ら(外国人)が病気を持ち込んだと思われているケースもある。

 感染の結末が過酷であることも、医療従事者への信頼醸成を妨げている。患者が病院に運ばれてくるときは末期症状であることも多く、その場合の死亡率は90%にも上るため、入院すると遺体となって帰ってくることの方が多いからだ。

 患者の家族は感染拡大を防ぐため、看病や伝統的埋葬をしないよう言われているが、医療機関への信頼の欠如は結果として、地域社会が感染を隠すことにつながっている。「国境なき医師団」や赤十字の関係者が支援に訪れても、彼らの活動に懐疑的な現地の人たちから脅迫されたり攻撃を受けたりする事例もある。

 言うまでもなく、人々が信頼していないのは医療制度だけではない。エボラ出血熱が流行している国々は政情不安や内戦に苦しみ、国民は役人のことも信頼していない。それが混乱に拍車をかけている。

 エイズウイルス(HIV)や結核のような他の感染症への取り組みは、感染地域からの声が重要な役割を果たすことを教えてくれた。公衆衛生当局者は、回復した患者や家族に協力してもらい、自分たちの経験ついて語ってもらう必要がある。宗教指導者や伝統的な治療家にも協力を仰ぎ、エボラ出血熱の知識を広めることも大切だ。

 信頼できる声が届かなければ、エボラ出血熱の流行は拡大し続けるだろう。感染を食い止めるには患者の隔離が必要となる。しかし、外国人の救援者がウイルスを拡散させていると思い込み、家族から離されてベッドで孤独に死ぬのだと信じているなら、誰も隔離には応じないだろう。


 エボラ出血熱には確立された治療法や感染を防止するワクチンは今のところ存在しない。最善の対処は、重度の脱水症状を引き起こしかねない発熱やおう吐、下痢といった症状を緩和することだ。

 患者は電解質溶液の経口補水や点滴が必要な場合があるほか、重症患者には集中治療が欠かせない。

 だが、感染が拡大するギニアやシエラレオネ、リベリアは最もぜい弱な医療制度を持つ国として、国連の人間開発指数の下位にランクされている。世界最貧困地域の1つであり、公立の病院でも基本的な医療器具さえ不足していることが多く、衛生的な環境とも言い難い。
 加えて、国境警備体制の不備や不衛生な環境、エボラ出血熱に対する無知が感染拡大に拍車をかけている。

 英国・レディング大学のウイルス学者、ベン・ニューマン氏はエボラ出血熱についての知識を広め、治療を受けるよう促す広報活動が致死率低下に役立つとする一方で、「治療の向上が生存率を高めることは間違いないが、残念ながらそれを上回る勢いで犠牲者は増えていくだろう」と述べた。




( 2014.06.24 )

● 西アフリカのエボラ出血熱、死者350人超え、制御不能か!


 西アフリカでエボラ出血熱の感染が拡大している問題で、現地で治療に当たっている国際医療支援団体の「国境なき医師団」は、流行が前例のない勢いで広がり、制御できない状況に陥ったと発表した。
 世界保健機関(WHO)の最新の統計によると、流行が始まった3月以降に確認された患者は567人で、死者は350人に上る。

 過去のエボラ出血熱の流行は、都市から離れた地方部にとどまり、拡大を食い止めやすいのが普通だった。 しかし今回は状況が異なり、ギニア、シエラレオネ、リベリアの60カ所で患者が確認されているという。

 原因の一端は、最初にウイルスが見つかった地点が、ギニアの首都コナクリなどの都市部に近いジャングルだったことにあるとみられる。 コナクリの人口は200万人で、国際空港もある。エボラ出血熱には2~21日の潜伏期間があるため、感染者が気づかないまま渡航している可能性もある。

 エボラ出血熱は、感染すると頭痛や発熱など風邪のような初期症状が出て、やがて激しい下痢や嘔吐(おうと)に見舞われ、血液が凝固できなくなって体内や体外で出血する。 多くは平均10日で死に至る。

 現時点で現地入りして治療に当たっている援助団体は国境なき医師団のみ。 3月の発生以来、300人以上を派遣し、40トンあまりの物資を送り込んできた。 しかしそうした対策は既に限界に達し、「もはや新たな流行が発生した場所にチームを派遣できなくなった」と説明。 流行を食い止めるためには、地元政府や支援団体などの大規模な動員が必要だと呼びかけている。

 エボラウイルスのワクチンや治療法は存在しない。 しかし初期段階で手当てを受ければ命を落とさずに済むこともある。 致死率は通常90%に達するが、今回の場合は60%程度にとどまっている。

 ウイルスに感染しても、発症していなければ他人に感染させる恐れはないとされる。 衛生当局などは住民に対し、かぜのような症状が出た場合は地元の医師や国境なき医師団の診察を受けるよう促している。

 WHOは7月2~3日に衛生当局による高官級協議を開き、現地への物資輸送や専門家の派遣について話し合う。



( 2014.06.18 )

● 西アフリカのエボラ出血熱、死者300人超える!


 世界保健機関(WHO)は18日、西アフリカでのエボラ出血熱流行について最新の統計を発表し、今年に入ってからの感染による死者はギニア、シエラレオネ、リベリアの3カ国だけで計337人に達していることを明らかにした。

 このうちギニアが最も死者が多く、264人が犠牲になった。シエラレオネでは49人、リベリアでは24人がそれぞれ死亡した。



( 2014.04.09 )

● 西アフリカのエボラ出血熱、死者111人に拡大!


 世界保健機関(WHO)は8日、西アフリカで前例のない規模に拡大したエボラ出血熱の流行は、医療関係者にとって最も困難な課題の一つになっていると述べた。

  エボラ出血熱の感染拡大を食い止めるため多数の要員を派遣しているWHOのケイジ・フクダ(Keiji Fukuda)事務局長補は、今回の流行が始まったギニア南部の森林地帯からエボラウイルスが広がることに懸念を示し、「エボラ出血熱は、アフリカのこの地域ではこれまで流行していなかった」とした上で、「これまでに対応した中でも最も困難な流行の一つだ」と述べた。

  ウイルスの種類によっては致死率90%とされ、ワクチンや治療法はおろか、対症療法もないエボラ出血熱についてフクダ氏は、「明らかに深刻な病気で、高い致死率を持つ感染症だ。一方で制御可能な感染症でもある」としている。

  WHOが同日公表した最新情報によると、ギニアでこれまでに見つかったエボラ出血熱の疑い例は157人で、そのうち101人が死亡し、この中で67人がエボラ出血熱で死亡したことが確認されている。

 また、近隣のリベリアでも疑い例が21人見つかり、うち10人が死亡し、死亡者のうち5人がエボラ出血熱だったことが確認されている。
 
 この他にも、疑い例がシエラレオネで2人、マリで9人見つかっている。
 尚、ガーナで疑い例とされた1人は、その後の検査でエボラ出血熱でないことが確認された。


・ ギニアでの「エボラ出血熱」の感染疑い例、157人見つかり101人が死亡、このうち67人がエボラ出血熱で死亡したことを確認。

・ リベリアでの「エボラ出血熱」の感染疑い例、21人見つかり10人が死亡、このうち5人がエボラ出血熱で死亡したことを確認。

・ マリでも「エボラ出血熱」が疑われる症例が9人確認され、現在、サンプルをアメリカに送って検査中。

・ シエラレオネでも「エボラ出血熱」が疑われる症例が2人確認、とされているが詳細は不明。


( 2014.04.04 )

● リベリアでも猟師死亡、エボラ出血熱の疑い、感染拡大か!


 リベリアの保健当局は3日、同国東部のタピタ(Tapeta)で、エボラ出血熱の疑いのある患者が、エボラ出血熱が流行している隣国ギニアと全く接点がないのに同病にかかった疑いが初めて見つかったと発表した。

 これまでリベリアで見つかった例は、いずれもエボラ出血熱で84人が死亡しているギニアでエボラウイルスに感染し、国内に戻ってきたという患者ばかりだった。
 もし今回の症例の感染源がリベリア国内と確認されれば、エボラ出血熱のまん延を抑制しようとする取り組みの中で憂慮すべき事態といえる。

 今回の症例は、「タピタ」に住む猟師で、森の中で気分が悪くなり、病院に運び込まれて30分後に死亡した。 「タピタ」は、リベリア東部のニンバ州にある小さな町で、ギニア南部で感染が確認されているエボラ出血熱の発症の中心地からは、400キロと離れており、車で少なくとも5時間はかかる。
 さらに、リベリア国内でエボラ出血熱と疑われる症例が見つかった他の場所よりもギニア国境からの距離はさらに遠く、ギニアに行ったこともなく、ギニアから来た人とも一切接触がなかったのに病気になったと発表されている。

 「エボラ出血熱」の原因となるエボラウイルスは、非常に感染力が強く、感染源の自然宿主の1つと考えられているオオコウモリは、ギニア、リベリア、シエラレオネにまたがる地域で珍味として食用にされてきた。
 専門家によると、猟師らが捕らえた野生動物の肉が病気の感染源になっている恐れもあるとみている。



● 「エボラ出血熱」とは!


 1976年6月、アフリカ中央部に位置するスーダン国の「ヌザラ」という町で、倉庫番を仕事にしていた男性が急に39度の高熱と頭や腹部に痛みを感じて入院、その後消化器や鼻から激しく出血して死亡した。
 その後、その男性の近くにいた2人も同様に発症、それを発端にこれらの患者を治療した際の血液や医療器具を通して感染が広がり、最終的に「ヌザラ」での被害は、感染者数284人、死亡者数151人と言うもので、世界で初めてこのウイルスが発見された事例と報告されている。

 この病気は、最初に確認された男性の地元地域を流れる「エボラ川」の名から命名され、ウイルスの感染により発症する伝染病(急性ウイルス性感染症)であることが確認、原因となるウイルスの名前を、「エボラウイルス」と名づけ、病気も「エボラ出血熱」と名づけられた。

 ウイルに感染すると体細胞の構成要素であるタンパク質を分解することでほぼ最悪と言える毒性を発揮し、体内に数個のエボラウィルスが侵入しただけでも容易に発症するといわれている。
 潜伏期間は通常7日程度、発病は突発的で、発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛、食欲不振などから、嘔吐、下痢、腹痛などを呈する。
 さらに進行すると口腔、歯肉、結膜、鼻腔、皮膚、消化管など全身に出血、吐血、下血がみられ、死亡に至る。
 致死率は50 - 89%と非常に高く、死亡者の殆どに消化管出血が見られる。

 感染経路としては、患者の血液、分泌物、排泄物や、唾液などの飛沫が感染源となり、死亡した患者からも感染するとされている。
 「エボラウイルス」の感染力は強いが、基本的に空気感染をしないため、感染者の体液や血液に触れなければ感染しないといわれ、現在までの感染拡大も、死亡した患者の会葬の際(葬儀などに関し、地域の古くからの慣習や習慣に起因する感染懸念も指摘されている)、医療機関の医療器具の不足等(注射器や手袋、消毒薬など)により、患者の血液や体液に直接触れたことによりもたらされたものも多く、空気感染は基本的にないとされ、そのため患者に近づかなければ感染することはないといわれている。

 そもそもの発生源は不明であるが、これらの地域では一般に野生の動物を食用とする習慣もあり、2005年12月1日付の英科学誌『ネイチャー』で、ガボンの「フランスビル国際医学研究センター」などのチームの調査による「食用コウモリからの感染」を疑う説が発表されている。

 また、「エボラウイルス」に感染した野生のゴリラやサルなどの死体に接触したことで感染したと思われる事例も報告されている。

 現在、これらエボラ出血熱ウイルスに対するワクチン、ならびに、エボラ出血熱感染症に対して有効かつ直接的な治療法は、まだ確立されていないが、有効なワクチン開発の研究が進められている。

 「エボラ出血熱」が知られるようになってから30年以上が経つが、アフリカ大陸で10回、突発的に発生・流行を繰り返し、これまでの死者数は累計で1,389人(2012年5月現在)とされている。

 これは、今日でも年間数十万人を超える死者を出している「マラリア」や「コレラ」と比較しても格段に少ない数で、これまでのところ発生地域も限定的(アフリカ中央部に位置する国々)とおもわれていたが、近年の世界経済のグローバル化にともない、人や物流がダイナミックに動くなかで他の感染症と同様に感染が拡大する懸念が指摘されるようになってきている。


(近年の流行事例)

・ 2007年から2008年にかけて、フィリピンのマニラ北部の養豚場など数箇所でブタが相次いで死亡、2008年10月にアメリカの研究機関が調べたところ、レストン株型のエボラウイルスに感染していたことが確認された。 家畜へのエボラウイルス感染が確認されたのは世界で初めてである。 

・ 2008年、コンゴ民主共和国で流行、32人が感染し14人が死亡。

・ 2012年12月、ウガンダで10人感染で4人死亡。

・ 2014年2月からギニア、リベリアにおいて感染が確認。
(4月9日現在の疑いのある感染者は、両国で合計178人、死亡者は111人で、WHO、国境なき医師団などが緊急援助を行っている。)