2015/03/24

除草剤成分に発がん性!


( 2015.03.24 )

● 除草剤「ラウンドアップ」の成分に発がん性! 


 3月23日、世界保健機関(WHO)傘下の専門組織である「国際がん研究機関(IARC)」は、米国・農業バイオ大手のモンサント社などが除草剤に使用している成分「グリホサート」について、発ガンの恐れがあるとの研究報告書を公表した。

 「国際がん研究機関(IARC)」によると、「グリホサート」という物質は、モンサント社の除草剤「ラウンドアップ」の主成分として知られ、他社を含め除草剤として世界で最も多く使われ、農業従事者の体内のほか、大気中や水、食品からも検出されているという。
 「国際がん研究機関(IARC)」は、ラットを使った実験で発がん性が確認されたとして、5段階で上から2番目にリスクが高い「恐らく発がん性がある」(2A)に分類した。

 除草剤「ラウンドアップ」は、日本国内でも一般に使用されており、ホームセンターの園芸用品コーナーや、ヤフー・楽天市場・アマゾンなどのネット通販でも購入することができる。

 今回、世界保健機構(WHO)は、除草剤「ラウンドアップ」をはじめ汎用農薬3種が、人体にガンを誘発する危険が高いとして公式発表した。

 「国際がん研究機関(IARC)」は、「ラウンドアップは『ほぼ確実な発ガン性』があり、すでに使用が禁止された別の二種類の農薬・殺虫剤「マラチオン」と「ダイアジノン」も『発ガン可能性』カテゴリーに分類した」と明らかにした。
 さらに、別の殺虫剤「テトラクロルビンホス」と「パラチオン」は、動物実験で得た確実な証拠により「発ガン性農薬」に分類された。

 ただし、これらはあくまでも動物実験の結果から確認されたものであり、現実的に農薬(除草剤)散布による近隣住民への影響、および耕作または散布された農作物を食物として摂取した場合のグリホサートの体内での検出値は低い水準であった」ともしている。
 また、「国際がん研究機関(IARC)」は、『今回の分類は、外部専門家グループの評価であり国際的拘束力があるものではなく、この農薬に対する規制や合法化、公共保健当局の介入等の有無は、各国家の責任において判断されるべき』と付け加えた。


 今回の「国際がん研究機関(IARC)」の発表に対し、米国・モンサント社は声明で「グリホサートは安全だ」と猛反発している。

 除草剤「ラウンドアップ」は、世界の遺伝子組み換え農作物市場の95%を掌握している米国・モンサント社が、「グリシン」というアミノ酸を利用して作った「グリホサート」という物質を主成分に開発、1974年に発売した汎用除草剤であり、2000年にモンサント社の特許(独占権)が消失した後も、全世界で他の多くの農薬製造会社により生産、販売されている。

 さらに、モンサント社の「遺伝子組み換え作物」は、「グリサホート」系の除草剤に対する耐性を持つように遺伝子操作されたものであり、この除草剤「ラウンドアップ」を使用することを前提として開発されたものであるとも言える。

 したがって、今回の「国際がん研究機関(IARC)」の発表は、とくに全世界の遺伝子組み換え作物の大多数の種子に対する特許権を独占しているモンサント社にとっては、遺伝子組み換え作物の種子や除草剤の販売に大きな打撃を与える可能性があるとも言えるだろう。

 モンサント社は、直ちに報道資料を出し、『市販中の「グリサホート」系のすべての除草剤は、人間の健康を保護するための保健当局の厳格な基準と規制を充足している。
 「国際がん研究機関(IARC)」の今回の発表は、既に検討されたものであり新しいものではなく、信頼に値する科学的データが揃っておらず、「グリホサート」とがん発病増加傾向との因果関係を立証するものでもない』と反論した。


 なお、「グリホサート」については、1985年に「米国環境保護庁(EPA)」が、マウスの実験結果に基づいて「グリホサート」を「ガン誘発可能物質」として分類するも、1991年には別の実験結果を根拠に「発ガン性物質ではない」と再分類した経緯もある。

 しかし、その後にも米国、南米、インドなどの大規模農作物栽培地では、「グリホサート」系・農薬の散布と関連して皮膚・呼吸器・甲状腺疾患などの問題に対する報告が絶えることなく続いている。