2014/07/26

中国産・輸入食品、大腸菌、殺虫剤まみれ


( 2014.07.26 )

● 中国産食品の高まる輸入依存度、大腸菌・殺虫剤まみれの食材ゴロゴロ


 中国の食汚染が再び、日本の外食産業に激震を走らせた。上海の食品会社が使用期限の切れた鶏肉を使っていたことが発覚し、取引のあった日本マクドナルドやファミリーマートが一部商品の販売を取りやめた。
 これまでも、度々、報道メディアなどで取り上げられてきた中国産食品の危険性が、またもや明らかになった格好だ。専門家は「中国産食品への依存を見直さない限り第2、第3の事件は起きる」と警鐘を鳴らしている。

 床にこぼれ落ちた肉塊を平然と調理鍋に投げ入れ、期限切れの肉を当たり前のように使い回す。

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 中国・上海のテレビ局が報じた食品加工・工場内部の映像は衝撃的だった。

 ずさんな衛生管理の実態が発覚したのは、上海の食肉加工会社「上海福喜食品」。同社では使用期限が半月過ぎた鶏肉や青カビが生えた牛肉を日常的に使っていたという。

 同社から「チキンナゲット」の約2割を輸入し、国内全体の約4割に当たる約1340店で販売していた日本マクドナルドと、「ガーリックナゲット」用などに輸入し、約1万店で店頭に並べていたファミリーマートは、メニューの販売中止に追い込まれた。

 今回の問題は、他の外食チェーンにとってもひとごとではない。

 ガストなどを展開するファミリーレストラン最大手「すかいらーく」は「問題になった上海の会社との取引はない。中国食品の取り扱いはあるが、厳しい検査基準をクリアしたものだけを使っている」と強調。牛丼大手「吉野家」を展開する吉野家ホールディングスは「国内外含めて問題となった会社との取引はない」とし、「中国産食品の取り扱いについては担当者不在のため回答できない」とした。

 日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)は中国産鶏肉の使用はなく、「小麦の一部に中国産を使っているが、食品の安全管理には万全を期している」と話した。

 主だった外食チェーンは安全性をアピールするが、消費者としては不安は尽きない。背景には、何度となく「食のチャイナリスク」に直面してきたことがある。


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 2012年には、抗生物質や成長ホルモンが過剰投与された『速成鶏』と呼ばれる鶏肉が、KFCの中国法人で使われていたことが判明した。日本では07年から08年にかけて毒ギョーザ事件が発生し、食べた10人が中毒症状を訴え、1人が一時重体に陥った。米国や欧州各国でも、中国産のペットフードによるペットの大量死が起きるなど事件が相次いでいる。

 厚生労働省がまとめた「輸入届出における代表的な食品衛生法違反事例」で日本に輸入される際に摘発された中国産食品を調べてみると、危ない食材がゴロゴロと出てくる。

 大腸菌まみれの「蒸し鶏」、漂白剤が残存する「乾燥きくらげ」、下痢性貝毒に汚染された「冷凍あさり(むき身)」、猛毒のヒ素が検出された「清涼飲料水」もあった。

 違反事例は、食品専門商社などが輸入する際、厚労省のモニタリング検査などで汚染状況が判明したケースで、現実には日本国内に流通することはなかった。

 だが、厚労省の医系技官で検疫官の経験者は「問題のある食品を(検疫所で)すべてシャットアウトするのは事実上、不可能。輸入食品の水際検査を行う食品衛生監視員はわずか399人(13年3月末時点)。検査機能を備えるのは横浜と神戸の検疫所だけで、マンパワーとインフラの両方が不足している」と説明。中国政府が、現地にしっかりとした検査機関を設置しない限り汚染食品の流入は防ぎようがないという。

 中国の食汚染の要因について、「生産業者の規範意識(モラル)の低さはもちろんだが、業者間の競争が激化していることも一因だ。一般論だが、彼らは悪いことをしているという認識の前に、コストを少しでも浮かせて利益を得たいという意識がある。競争を勝ち抜くため、期限切れのものを使ったり過剰に農薬を投与したりして不正を働く側面がある」と指摘する専門家もいる。


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 食材の危険性がクローズアップされても日本の中国依存は弱まらない。

 財務省がまとめた貿易統計によると、昨年度(2013年)の中国産食品の輸入高は約8701億円。日本は最大の輸入相手国である米国の1兆2646億円に次ぐ高さで、00年度の約6503億円から約33・8%も取引量が増えた。

 日本の食料自給率も1992年にカロリーベースで46%だったが、2012年には39%に減り、輸入食品頼みが続いている。

 根本的な解決を目指すなら、日本の食糧事情を見直すべきで、この状況なら中国産食品での第2、第3の事件はいつ起きてもおかしくはないと指摘する声もあり、中国発の「毒食品」にむしばまれる前に早めの対策が求められている。


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■ 中国輸入食品の代表的な食品衛生法違反事例(一部抜粋) 

 品名 違反内容 

・ うるち精米      ・・・・ 腐敗、変敗、カビの発生 
・ たらこ        ・・・・ 発色剤・亜硝酸根の過量残存
・ ナッツ類(くるみ)  ・・・・ アフラトキシン(カビ毒)の検出 
・ ピータン       ・・・・ 指定外添加物の製造用剤・酸化亜鉛の含有 
・ ゆで小豆       ・・・・ 成分規格不適合(細菌試験) 
・ 塩蔵タケノコ     ・・・・ 漂白剤・二酸化硫黄の過量残存 
・ 塩蔵らっきょう    ・・・・ 漂白剤・二酸化硫黄の過量残存 
・ 塩蔵生姜       ・・・・ 漂白剤・二酸化硫黄の過量残存 
・ 乾燥きくらげ     ・・・・ 漂白剤・二酸化硫黄の過量残存 
・ 乾燥しいたけ     ・・・・ 漂白剤・二酸化硫黄の過量残存 
・ 乾燥だいこん(切干大根)・・・・ 漂白剤・二酸化硫黄の過量残存 
・ 魚肉ねり製品     ・・・・ 成分規格不適合(大腸菌群) 
・ 魚肉ねり製品(ウナギつくね串)・・・・ 成分規格不適合(大腸菌群) 
・ 春雨         ・・・・ 漂白剤・二酸化硫黄の過量残存 
・ 小豆         ・・・・ 成分規格不適合(ジクロルボス) 
・ 食肉製品(ソーセージ)・・・・ 成分規格不適合(亜硝酸根) 
・ 食肉製品(ポークソーセージ)・・・・ 成分規格不適合(亜硝酸根) 
・ 食肉製品(牛舌スライス)・・・・ 成分規格不適合(大腸菌) 
・ 食肉製品(牛舌串さし)・・・・ 成分規格不適合(大腸菌) 
・ 食肉製品(焼き鳥・つくね串)・・・・ 成分規格不適合(大腸菌) 
・ 食肉製品(蒸し鶏)  ・・・・ 成分規格不適合(大腸菌群) 
・ 食肉製品(炭焼き鴨ネギ串)・・・・ 成分規格不適合(大腸菌) 
・ 食肉製品(炭焼きつくね串)・・・・ 成分規格不適合(大腸菌) 
・ 食肉製品(備長直火焼きチキン)・・・・ 成分規格不適合(大腸菌) 
・ 清涼飲料水      ・・・・ 成分規格不適合(ヒ素) 
・ 冷凍あさり(むき身) ・・・・ 下痢性貝毒の検出 
・ 冷凍エビ       ・・・・ 酸化防止剤・二酸化硫黄の過量残存 
・ 冷凍カキ(むき身)  ・・・・ 下痢性貝毒の検出 
・ 冷凍ハンバーグ    ・・・・ 成分規格不適合(生菌数) 
・ 冷凍ビーフコロッケ  ・・・・ 成分規格不適合(大腸菌) 
・ 冷凍蒲焼きウナギ   ・・・・ 成分規格不適合(大腸菌群) 
・ 冷凍鶏肉       ・・・・ 成分規格不適合(合成抗菌剤のクロピドール) 
・ 冷凍餃子       ・・・・ 成分規格不適合(生菌数)

(※厚生労働省の「輸入届出における代表的な食品衛生法違反事例」から抜粋して作成。ジクロルボスは有機リン系の殺虫剤、E.coli(イー・コリ)は大腸菌の学名の略)







2014/07/24

ベトナム産シシャモ、異物混入問題で自主回収!


( 2014.07.24 )

● ベトナム産「冷凍シシャモ」に汚物、殺鼠剤混入か!



 山口県長門市の「伊村産業」が、ベトナムから輸入した冷凍ししゃもに汚物や殺鼠剤(さっそざい)のようなものが混入していたことが分かり、問題のシシャモの輸入と販売を停止し、商品の回収を進めている。

 今月15日、問題の「冷凍ししゃも」を購入した小売店が、段ボールを開けたところ、ビニール袋に梱包されたししゃもの上に、汚物とみられるものと殺鼠剤のような薬品が乗っているのを見つけた。

 厚生労働省と山口県の調査で、問題のシシャモは、少なくとも10都府県に流通していることが分かった。
 厚労省はシシャモを製造したベトナムの水産物加工会社「リッチ・ビューティー・フード」の商品の輸入手続きをいったん止めるよう、全国の検疫所に指示するとともに、商品を食べないよう注意を呼び掛けている。 

 厚生労働省によると、今までのところ健康被害などの報告はされていないと言う。










2014/07/22

上海の食肉工場で、期限切れ肉偽装か!


( 2014.07.22 )


● 上海の食肉工場で、期限切れ食肉の使用疑惑


 7月21日、中国の上海市当局は、米国の食品卸売大手OSIグループ傘下の、中国企業「上海福喜食品有限公司」の上海工場で、保存期限の切れた食肉をマクドナルドやケンタッキーフライドチキン(KFC)などの大手ファストフードチェーンに納入していたとして、米国の食品卸売大手OSIグループ傘下の上海福喜食品有限公司の上海工場を閉鎖したと発表した。

 また、上海のテレビ局は、OSIグループの中国工場が、期限切れの食肉を新鮮な食肉と混ぜてマクドナルドの品質検査を欺いているとの疑惑を報じていた。

 問題の工場はマクドナルド、KFC、バーガー・キング、パパ・ジョンズ・ピザ、サンドイッチチェーンのサブウェイ、コーヒーチェーン大手スターバックスなどに食肉を納入していたといわれ、事態を受け、マクドナルドは問題の工場の製品の使用を即時に中止したと発表。
 KFCとピザハットを傘下に持つ米外食大手ヤム・ブランズも、同様の措置を取ったことを明らかにした。

 中国ではたびたび食の安全を脅かす事件が起きていて、規制の甘さや製造側の手抜き、食の安全性への認識・モラルの欠如などが言われていて、今回問題となった「上海福喜食品有限公司」をめぐっては、以前から従業員が工場の床に落ちた食肉を拾って食材に戻している姿や、半年以上期限切れの食肉を混ぜている姿がテレビで報じられていた。

 同社は保存期限の切れた変質した肉類原料を大量に使用し、保存期限シールを貼り替えるなどの偽装工作をしていた。中には期限が7カ月過ぎ、カビが生えた冷凍品まで扱われていたという。同社の作業員は「期限切れだからと言って、食べても死にはしない」などと話していたが、こうした肉で製造されたチキンナゲットやステーキ、ビーフパティなどは、主要なファストフードチェーンに販売されていた。特に鶏肉加工品は中国に優先的に供給されていたという。

 米国・小売り大手ウォルマートは、今年初め、中国の店舗でロバ肉として販売されていた製品にキツネの肉が混入していたことが発覚し回収を強いられたとして、中国の納入業者に対する検査を強化すると発表していた。
 また、昨年には牛肉や羊肉と偽ってネズミやキツネの肉を販売していた食品偽装の疑いで、数百人が逮捕されている。

 中国では“外国のブランド製品は品質管理が厳格”と考えられており、消費者も信頼していたが、2013年には、KFCで成長促進剤が投与された「速成鶏」が原料として使用されていたと報じられるなど、外国のブランドであっても、中国で製造している限りこの種の問題は必ず起き、ブランドの信用力の低下は免れないだろう。

そもそも、ほとんどの中国人が自国で製造された食品の安全性に対して、疑問を持っているようなお国柄である。今回の問題は、欧米系の大手と言われる食品メーカーの工場でさえ例外ではなく、ましてや中小の食品メーカーの食品安全管理の実態は容易に想像できる。


 
 今回の問題では、日本マクドナルドも「上海福喜」から2割程度のチキンナゲット向け鶏肉の供給を受けていたと発表。 問題の商品販売を21日に停止したことを明らかにした。タイや中国の別の業者からの調達に切り替えたという。

このほか、中国で牛丼チェーン「吉野家」を展開する香港上場の合興集団と、ファミリーマートは、「上海福喜食品有限公司」から仕入れた製品は、現在使用していないと明らかにした。


 中国・「上海福喜食品有限公司」の上海工場で生産された食品は、日本国内にも輸入されていることから、国内でも今後、波紋が広がりそうである。









2014/07/11

野鳥の減少、殺虫剤が原因か?


( 2014.07.11 )


● オランダの研究者が殺虫剤の環境への影響を警告!


  オランダの鳥類学者などによる研究グループは、現在、殺虫剤として一般的に広く使用されている「ネオニコチノイド」が、生態系の他の生物へも間接的に影響を与えている可能性があるとの研究結果を発表し、14種類の野鳥の個体数の減少に関係している可能性を警告している。

  オランダのラドバウド大学とオランダ・野外鳥類学バードライフセンターの研究者らによる研究報告で、農業地帯に生息する鳥の個体数と表面水に含まれる薬品濃度の長期的データを比較した結果、一般的な「ネオニコチノイド殺虫剤」である『イミドクロプリド』が水中に高い濃度で含まれている地域では、鳥の個体数が年に平均3.5%減少する傾向にあると指摘した。

 かって1962年に、米国の生物学者で作家のレイチェル・カーソン(Rachel Carson)氏が、その著書『沈黙の春(Silent Spring)』の中で、殺虫剤の『DDT』が野生生物の生態系に重大な影響を与えていると指摘、「ある日突然、鳥の歌声が聞こえなくなってしまった」のは殺虫剤が原因であると警告を発した画期的な本であった。

 野外鳥類学バードライフセンターの鳥類学者で、今回の報告書の共著者であるルード・フォッペン氏は、当時カーソン氏が問題にしていた『DDT』などの「有機リン酸エステル」と、今回問題となっている「ネオニコチノイド」は、全く別の薬品ではあるものの、事態はほぼ同じであると指摘している。

 「ネオニコチノイド」は、近年(約20年前から)、殺虫剤の分野では最も急速にそのシェアを伸ばしてきた農薬で、害虫駆除に高い効果を上げ、使用法も簡単なため、特に農業従事者の間では評判が高いと言われている。

 従来のように殺虫剤液をタンクに入れて、広大な畑の農作物の上から散布するタイプの殺虫剤ではなく、あらかじめ農作物の種に「ネオニコチノイド」を薬品処理したもので、「浸透性」農薬と呼ばれている。
 種の時点で薬品処理されているため、成長過程においても殺虫剤が作物全体に浸透し、殺虫効果が持続することで作物自体が害虫駆除植物と化し、バッタや根切り虫などの害虫が根や茎、葉、花など、どこを食べても同時に神経毒を摂取することになる。

 この結果、「作物の頭から根の先までを殺虫剤で防護するということは、その花、花粉、蜜までも全てが有毒となることを意味し、対象とする害虫だけではなく、ハチなど有益な昆虫にまで害を与えてしまっている」と指摘する研究者もいる。

 さらに、「ネオニコチノイド」は土壌の中に何年も残留し、そこに生えた他の植物まで、薬品に接触すればそれを吸収してしまうという。

 今回の研究は、オランダの農業地帯でよく見られる14種の野鳥を対象として、その個体群の統計を調査したもので、対象となったほとんどの鳥は、昆虫を主な餌としているが、中には種子や穀類を食べる鳥もいる。このことから、「ネオニコチノイド」がオランダの鳥へ与える影響は、2通りあると考えられる。

 第1が「ネオニコチノイド」の残留する昆虫や作物の種を餌として直接口から摂取した場合の影響で、通常なら昆虫以外の動物や鳥には安全であると報告されているものの、多量に摂取すれば命に関わる可能性もある。

 第2が鳥たちの餌となる昆虫の減少が挙げられる。「ネオニコチノイド」は対象とする害虫だけでなく、他の種も殺してしまうので、鳥が食用とするハエ、バッタ、カメムシ、イモムシなどの虫の数までが減少してしまうことによる影響などが考えられる。

 ただし、今回の研究報告書は「ネオニコチノイド」と野鳥の個体数減少の相関関係を示してはいるものの、殺虫剤が直接その減少を引き起こしているとは言っていない。

 農薬の大手メーカーであるベイヤー・クロップ・サイエンス社は、「ネオニコチノイドの農薬としての使用は安全である」と主張し、「本薬品は厳しいリスク評価を受けており、説明書に記載されている通りの責任ある使用法を守れば、環境への安全性は確認されている」との声明を出している。