( 2015.09.25 )
● (台湾):デング熱発生、過去最悪で42人死亡!
台湾・衛生福利部疾病管制署は、9月24日、今年に入り、デング熱の感染による死者数が昨年の2倍となる42人に達し、過去最悪を記録したと発表した。
感染者数でも昨年はここ30年ほどで最悪の1万5732人だったが、今年は既に1万5282人に達しており、関係当局が対策に追われている。
( 2015.09.16 )
● (インド):デング熱感染、首都(ニューデリー)で急増!
インドの首都ニューデリーでデング熱の感染患者が急増している。
9月16日までに確認された患者数は、1800人を超え、過去5年間で最悪の水準。 病床不足も深刻化しており、デリー首都圏政府のジェイン保健相は、14日、急増するデング熱患者に対応するため、市内の病院に新たにベッド1000床を発注するよう指示した。
ニューデリーでは8日、デング熱感染の疑いがあった7歳の男児が、5カ所の病院に受け入れを拒否された末に死亡。 一人息子を亡くした両親は翌日、4階建ての建物から飛び降りた。
地元メディアによると、2人は互いの腕を縛っており、遺書とみられるメモには「誰の責任でもない、自分たちで決めたことだ」と記されていた。
市内の病院では、待合室の床にも患者があふれている状況で、13日にも男児(6)が数カ所の病院をたらい回しにされた揚げ句、病状を悪化させて死亡した。
首都圏政府は、患者の受け入れを拒否した場合は厳しく対処すると強調、公立病院の医師や看護師に対し、休暇を返上して職場に戻るよう命じた。
インド北部では例年、デング熱感染が10月中旬にピークを迎える。
専門家は、「平年より高い湿度が感染拡大を引き起こしている」と指摘し、今後も患者が増えると予測した。
( 2015.08.10 )
● デング熱、温暖化で日本列島を北上、感染地域拡大か!
昨年、2014年8月、約70年ぶりに国内感染者が発生した「デング熱」。 最終的に、昨年の国内感染者数は162人にのぼり、このうち159人の推定感染地となった東京都では、代々木公園や新宿御苑などが一時閉鎖される事態に陥った。
蚊が媒介する感染症・デング熱、海外で感染して日本で発症した患者報告数が8月10日現在で今年80人に上り、1999年の調査開始以降、過去最多のペースになっている。
東南アジアでは、ここ数年デング熱の流行が続いており、海外からウイルスが持ち込まれるケースが増えるほど国内感染の危険は高まる。 専門家は「蚊の発生時期を迎え、警戒が必要だ」と呼びかけている。
・ どこでも流行の可能性
昨年、感染源となった代々木公園を所管する東京都は4月、代々木公園のほか上野公園、日比谷公園など人の集まる9公園で蚊の採取を始めた。
デングウイルスの保有の有無を調べ、陽性の蚊が見つかればホームページなどで公表する。
側溝などの水をすくって幼虫の発生状況も調べ、成虫になるのを防ぐ薬剤も散布する。
7月には医療機関向けの研修も行う予定で、今年度のデング熱対策費はワクチン開発と併せて2億1000万円に上る。
ただ、デング熱の感染源が昨年と同じ都内になるとは限らない。 ウイルスが卵を介して親から子に受け継がれ、翌年の流行につながった例はなく、今年も国内感染があるとするなら、海外から新たに持ち込まれるウイルスが感染源になると予想されるからだ。
国立感染症研究所昆虫医科学部の小林睦生・名誉所員は「ウイルスを媒介するヒトスジシマカは、年平均気温が11度以上の秋田・岩手両県以南に高い密度で生息しており、どこで流行してもおかしくない」と指摘する。
「実は見落としてきただけで、これまでも小規模の国内流行は起きていた」とみる専門家もいる。
国立国際医療研究センターの忽那(くつな)賢志・国際感染症センター医師によると、昨年国内で感染した患者の1人から、代々木公園にいた蚊とは異なる遺伝子型のウイルスが見つかっていたという。
2013年にも、日本を旅行したドイツ人女性が帰国後にデング熱を発症している。 忽那医師は、「直近2年間だけで3回もデングウイルスの国内感染が起きていたことになる。
早く感染者を見つけ、流行を広げないことが重要だ」と話す。
ヒトスジシマカは、カリブ海諸国や中南米で大流行しているチクングニア熱や、昨年もタイなどから国内に持ち込まれたジカ熱も媒介する。 海外を行き来する日本人のほかに、訪日外国人数が急増する中、これらの国内感染のリスクも高まっている。
今後の対策として、小林名誉所員は「不特定多数が出入りする公園などで蚊が発生しにくい環境を管理者が作り、もし感染者が見つかった場合は、その場所で殺虫剤をまくなど徹底した拡大防止を図ることが大切」と強調。
忽那医師は、個人でできることとして「肌に塗る防虫剤を適正に使うなどして、蚊に刺されないようにしてほしい」と訴える。
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・ デング熱とは
①.症状
「デングウイルス」が感染しておこる急性の熱性感染症で、3~7日の潜伏期間の後、突然の発熱、激しい頭痛、関節や筋肉の痛み、発疹などの症状が出る。 ただし、2~7日で解熱するが、まれに重症化して死亡することもある。
突然の高熱で発症し、頭痛、眼(か)痛、顔面紅潮、結膜充血を伴い、発熱は2~7日間持続します(二峰性であることが多い)。 初期症状に続き、全身の筋肉痛、骨関節痛、全身倦怠感を呈します。
発症後3~4日後、胸部、体幹から始まる発疹が出現し、四肢、顔面に広がります。症状は1週間程度で回復します。
なお、一部の患者において、発熱2~7日後、血漿漏出に伴うショックと出血傾向を主な症状とする致死的病態が出現することがある。
②.感染経路(蚊媒介性)
ウイルスに感染した患者を蚊(ネッタイシマカ・ヒトスジシマカなど)が吸血すると、蚊の体内でウイルスが増殖し、 その蚊が他者を吸血することでウイルスが感染します。
ヒトか らヒトに直接感染するような病気ではありません。 また、感染しても発症し ないことも多くみられます。
主たる媒介蚊はネッタイシマカ(日本には常在していません)です。 ただし、日本のほとんどの地域(秋田県および岩手県以南)でみられるヒトスジシマカも媒介できます。
③.流行地域
熱帯や亜熱帯の全域で流行しており、東南アジア、南アジア、中南米で患 者の報告が多く、その他、アフリカ、オーストラリア、南太平洋の島でも発 生があります。
現在、最も日本に近い流行地は台湾と言われている。
④.国内の感染状況
海外の流行地で感染し帰国した症例が近年では毎年200名前後報告されています。 日本国内で感染した症例は、過去60年以上報告されていませんでしたが、2013年には、ドイツ人渡航者が日本で感染したと疑われる症例が報告されました。 また、2014年8月以降、東京都立代々木公園に関連する患者の発生が報告されています。
⑤.治療法
現時点でのワクチンや治療薬はありませんので、対症療法となります。
⑥.予防法
国内・海外を問わず、流行地にでかける際は、蚊に刺されないように注意し、長袖、長ズボンの着用が推奨されます。 また蚊の忌避剤(虫除け薬)なども現地では利用されています。
現時点では、日本にはデング熱の主たる媒介蚊のネッタイシマカは常在していないと言われているが、媒介能力があるヒトスジシマカは日本のほとんどの地域(本州以南)に生息しています。
このことから、仮に流行地でウイルスに感染した発症期の人(日本人帰国者ないしは外国人旅行者)が国内で蚊にさされ、その蚊がたまたま他者を吸血した場合に、感染する可能性はあり得ます。
ただし、仮にそのようなことが起きたとしても、その蚊は冬を越えて生息できず、また卵を介してウイルスが次世代の蚊に伝わることも報告されたことがないため、限定された場所での一過性の感染と考えられます。
なお、ヒトスジシマカは、日中、屋外での活動性が高く、活動範囲は50~100メートル程度です。国内の活動時期は概ね5月中旬~10月下旬頃までです。
また、近年の温暖化の影響で、活動する範囲(地域)や活動時期(期間)が拡大しつつあるため注意が必要である。