2014/03/26

大気汚染による死者、世界で約700万人


( 2014.03.26 )

● 2012年の大気汚染による死者、世界で約700万人とWHOが報告



 世界保健機関(WHO)は25日、大気汚染が原因の死者が2012年には推計約700万人だったとする報告書を発表した。 大気汚染は世界にとって、引き続き唯一最大の環境健康リスクだとしている。

 WHOが今回発表した数字は、以前の推計からは倍増となるもので、「2012年の世界の死亡者の8人に1人が、大気汚染が原因または要因となる疾患で死亡した」と指摘。 また今後、大気汚染の低減が進めば、将来的に数百万人の命が助かる可能性があるとも記されている。

 WHOのネイラ公衆衛生・環境局長は、「大気汚染によるリスクは、呼吸器疾患以外にも特に心臓疾患や発作については以前考えられていたよりはるかに深刻」とし、「われわれが呼吸する空気を浄化するため、(各国の)連携した取り組みが必要」との考えを示した。

 大気汚染の影響が最も深刻なのは、東南アジアと西太平洋地域の低・中所得国で、2012年には屋内空気汚染で330万人、屋外大気汚染で260万人が命を落としたという。








2014/03/25

住民帰還に想定外の高い数値で被ばく線量を公表せず?


( 2014.03.25 )

● 住民帰還に想定外の高い数値で被ばく線量を公表せず?


 ◇内閣府のチーム、福島の3カ所

 東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示の解除予定地域で昨年実施された個人線量計による被ばく線量調査について、内閣府原子力被災者生活支援チームが当初予定していた結果の公表を見送っていたことが24日、分かった。関係者によると、当初の想定より高い数値が出たため、住民の帰還を妨げかねないとの意見が強まったという。調査結果は、住民が通常屋外にいる時間を短く見積もることなどで線量を低く推計し直され、近く福島県の関係自治体に示す見込み。調査結果を隠したうえ、操作した疑いがあり、住民帰還を強引に促す手法が批判を集めそうだ。

 毎日新聞は支援チームが昨年11月に作成した公表用資料(現在も未公表)などを入手した。これらによると、新型の個人線量計による測定調査は、支援チームの要請を受けた日本原子力研究開発機構(原子力機構)と放射線医学総合研究所(放医研)が昨年9月、田村市都路(みやこじ)地区▽川内村▽飯舘村の3カ所(いずれも福島県内)で実施した。

 それぞれ数日間にわたって、学校や民家など建物の内外のほか、農地や山林などでアクリル板の箱に個人線量計を設置するなどして線量を測定。データは昨年10月半ば、支援チームに提出された。一般的に被ばく線量は航空機モニタリングで測定する空間線量からの推計値が使われており、支援チームはこれと比較するため、生活パターンを屋外8時間・屋内16時間とするなどの条件を合わせ、農業や林業など職業別に年間被ばく線量を推計した。

 関係者によると、支援チームは当初、福島県内の自治体が住民に配布した従来型の個人線量計の数値が、航空機モニタリングに比べて大幅に低かったことに着目。

 関係省庁の担当者のほか、有識者や福島の地元関係者らが参加する原子力規制委員会の「帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チーム」が昨年9~11月に開いた会合で調査結果を公表し、被ばく線量の低さを強調する方針だった。

 しかし、特に大半が1ミリシーベルト台になると想定していた川内村の推計値が2.6~6.6ミリシーベルトと高かったため、関係者間で「インパクトが大きい」「自治体への十分な説明が必要」などの意見が交わされ、検討チームでの公表を見送ったという。

3市村に報告へ その後、原子力機構と放医研は支援チームの再要請を受けて、屋外8時間・屋内16時間の条件を変え、NHKの「2010年国民生活時間調査」に基づいて屋外時間を農業や林業なら1日約6時間に短縮するなどして推計をやり直し、被ばく推計値を低く抑えた最終報告書を作成、支援チームに今月提出した。支援チームは近く3市村に示す予定だという。

 支援チームの田村厚雄・担当参事官は、検討チームで公表するための文書を作成したことや、推計をやり直したことを認めた上で、「推計値が高かったから公表しなかったのではなく、生活パターンの条件が実態に合っているか精査が必要だったからだ」と調査結果隠しを否定している。

 これに対し、独協医科大の木村真三准教授(放射線衛生学)は「屋外8時間・屋内16時間の条件は一般的なもので、それを変えること自体がおかしい。自分たちの都合に合わせた数字いじりとしか思えない」と指摘する。

 田村市都路地区や川内村東部は避難指示解除準備区域で、政府は4月1日に田村市都路地区の避難指示を解除する。また川内村東部も来年度中の解除が見込まれている。







2014/03/23

中国船団根こそぎサンゴ密漁で絶滅の危機!


( 2014.03.23 )

● 中国船団根こそぎサンゴ密漁で絶滅の危機!


 政府は、沖縄近海での中国船によるサンゴの密漁が後を絶たないことから、現在は認められていない現場海域での日本の公船による取り締まりを可能にするよう、中国政府に働きかける方針を固めた。

 日本政府は外交ルートなどを通じて、中国側に協議に応じるよう求める考えだ。

 サンゴの採取は中国の国内法で禁じられているほか、日本の法律でも制限されている。沖縄本島と宮古島の間の東シナ海では、「宝石サンゴ」と呼ばれる希少なサンゴが分布し、福建省や浙江省の港を出た中国船による違法採取が続発。日本政府は昨年11月には約200隻による集団操業も確認した。地引き網で根こそぎ採取する例が多く、現場海域のサンゴが絶滅するおそれもあるという。

 現場海域は日本の領海にほど近く、日本の排他的経済水域(EEZ)内にあるため、本来なら水産庁や海上保安庁が取り締まることができる。しかし、日中両国は1997年の漁業協定の際、「北緯27度以南」と「東シナ海境界線以北」の海域で中国漁船の操業を認め、中国国民に対し日本の法令を適用しないことを両国で確認している。このため、日本による取り締まりができず、「野放図」(政府筋)の状態だ。









2014/03/22

国連人権理事会は、(福島原発事故)被ばく線量の日本の安全基準を疑問視


( 2014.03.22 )

● 国連人権理事会は、(福島原発事故)被ばく線量の日本の安全基準を疑問視!


 ◇健康調査徹底を強調

 福島第1原発事故を巡る健康影響を調査した国連人権理事会の特別報告者、アナンド・グローバー氏を迎えたシンポジウムが21日、福島市の福島大で開かれた。追加被ばく線量について国が「年20ミリシーベルト以下は安全」としている点を批判し、グローバー氏は「1ミリシーベルト以上の安全性には議論があり、リスクがある前提で移住や健康調査の方針を住民合意で決定するべきだ」と訴えた。

 基調講演で、グローバー氏は「100ミリシーベルト以下は危険性がないとは言えない」と説明し、低線量の被ばくでも健康影響が出る可能性があるという「しきい値なし」という考えが科学的知見であると主張した上で、「甲状腺以外の部位ががんになる可能性は否定できない」として、1ミリシーベルト以上の地域での健康調査を徹底することの必要性を強調した。

 また、第1原発の元作業員への聞き取りを行い、東電の下請けの非正規労働者が100ミリシーベルトの被ばくをして失職し、長期的なモニタリングや健康調査が行われないケースがあると指摘。「インドでもないような悲惨な労働者が日本にいることが信じられず、こうした問題にも目を向けるべきだ」と指摘した。

 グローバー氏はインド最高裁の首席弁護士で、2008年から人権理事会の特別報告者。12年11月に来日して原発事故の被害調査をした。


「原子爆弾」の唯一の被ばく国として、放射能被ばくには敏感であるはずの我が国の安全基準が、経済発展途上国の「インドでさえもありえないほど悲惨な労働条件で働かされている労働者がいるということが信じられない」と言わしめるほど、実態はもっと深刻で、過去の公害問題同様に、安全、安全と言い逃れ、実態調査・検証もせず問題先送りの責任逃れで、その場凌ぎの言い訳に全神経を費やす官僚主権国家に、この国の将来を託せるのだろうか。










2014/03/20

基準内被ばく:「原発作業、がんの原因」労基署、労災認定


( 2014.03.20 )

● 基準内被ばくでも「原発作業、がんの原因」と労災認定!


 原発の検査に約27年従事し、悪性リンパ腫を発症した神戸市北区の男性(62)について、神戸西労働基準監督署が労災と認めたことがわかった。
 被ばく線量は労災認定の基準を超えていなかったが、労基署は医師の所見などを評価し、原発作業との因果関係を認めた。

 がんで労災認定された原発作業員はこれまで男性を含めて13人、悪性リンパ腫では男性が5人目とみられる。

 男性の代理人の弁護士らによると、男性は1983年4月、関西電力の3次下請けである神戸市内のメンテナンス会社に入社した。一線を退いた2010年6月までの約27年、関西電力の美浜、高浜、大飯(いずれも福井県)の各原発などを中心に定期検査の作業をしてきた。

 主な作業内容は、冷却のために原子炉内を循環させた汚染水が通過する1次系配管のバルブ交換などだった。しかし、11年7月の会社の健康診断で心臓に腫瘍が見つかり、その後、悪性リンパ腫と診断された。手術や化学療法でおおむね回復し、今は労災の休業補償を受けながら経過観察を続けている。

 男性の放射線管理手帳の記録では、10年6月までの累積被ばく線量は計168.41ミリシーベルトで、平均すると年約6ミリシーベルトだ。国が定める原発作業員の被ばく限度は5年で100ミリシーベルト、1年で50ミリシーベルト。これとは別に、08年にがんの労災認定基準を作り、悪性リンパ腫は年25ミリシーベルト以上とした。男性はいずれの基準も超えなかった。

 代理人の藤原精吾弁護士(兵庫県弁護士会)は「基準を超えなくても原発作業が危険であることを示した画期的な判断だ」としている。








2014/03/11

原発事故から何も学んでいなかった日本


( 2014.03.11 )

● 福島第一原発事故で露呈、過去から何も学んでいなかった日本



 東日本大震災、そして福島第一原子力発電所のメルトダウン事故から3年が経とうとしている。
被災地の復興においても日本が抱える様々な病理や課題が次々と露わになっているが、とりわけ原発事故については、事故原因の結論も得られていないし、事故現場の収束さえままならぬ状態であるにもかかわらず、もっぱら原発再稼働の是非に政権の関心が集まるという異常な状態にある。

 あの事故は東日本大震災の津波によって原発がすべての電源を失ったために、原子炉を冷やすことができなくなり、メルトダウン、メルトスルーに至ったと説明されている。 原因がもっぱら津波だけだったのか、地震による原発施設への影響はどうだったのかについては議論があるところだが、いずれにしても万が一の時に原子炉を冷やせる、より強固な設備を完備しておけば、今回のような事故は起こらないという前提に立ち、新たな安全基準などが作られている。

 確かにハード面での不備は修正されなければならない。 しかし、本当にそれだけでいいのだろうか。 今回の事故がここまで甚大な被害をもたらすに至った背景には、単に電源のバックアップに不備があったということではないのではないかとの声も多くある。

 実際、全電源喪失に至った後に福島第一発電所や東電本社、そして首相官邸などで起きたことをつぶさに再検証してみると、事故がここまで大きくなった原因は単に電源というハードウエアの問題だけではなく、現場と事故の対応に当たる政府関係者や東電関係者の間の致命的なコミュニケーションミスや、いざというときに取捨選択を決断できるリーダーシップの不在など、数々のヒューマンエラーが介在していたことが明らかになっている。

 福島原発事故独立検証委員会、いわゆる「民間事故調」の報告によると、われわれが最も真摯に反省しなければならない点は、ハード面での不備だけではなく、日頃からの危機に対する意識や優先順位を決めて損切りを決断するリーダーの養成だったのではないかとの指摘がなされていて、実は同様の問題が、「国会事故調」の黒川清委員長による英文の最終報告書で指摘されている。

 ところがわれわれの目は、そうした問題にほとんど向いていない。 また、実際にそうした反省に立って、対策が取られている形跡も見られない。 特に自民党・安倍政権になってからは、より厳しい安全基準を設定したのだから、「原子力規制委員会」の審査にパスした原発は再稼働することが当たり前であるとの立場を取っている。
 
 元々、「原子力規制委員会」の前身で、今回の事故で全く役立たずの烙印を押された「原子力安全・保安院」は、1999年のJCO臨界事故の反省を受けて作られた組織のはずだった。 それが今回の事故ではまるで機能しなかった。 ところが今回もまた、福島原発事故の教訓が十分に活かされないまま、組織の改編と安全基準のマニュアルの変更が行われただけで、事故の反省は終わってしまいそうな様相を呈している。 この現状を、われわれはどう受け止めたらいいのだろうか。「

 そもそも、原発の過酷事故が直ちに国家的危機となりうるという自覚もないまま、安全対策をおろそかにして絶対安全神話なるものに寄りかかり、最後は何とかなるだろうという楽観シナリオに基づいて原発依存に突入した様は、先の太平洋戦争において勝算もないままにアメリカとの戦争に突入していった時といろいろな面で酷似していると指摘する人もいる。

 そもそも日本社会には異質なものを排除して、同質の価値観だけで物事を進めていく「空気の支配」という特性があることが指摘されて久しい。 それは全体の秩序を維持し、一つの共通の目標に向かって邁進する上では武器となり得るが、何か問題があったときにそれを言い出すことを難しくさせる。 それが誰も「撤退」を言い出せない空気が支配する文化を作っている。

 日本中が安全神話の下で原発推進に邁進する空気の支配の下で誰かが異論を唱えれば、単に排除されるだけだ。 原発についても、一部の良識ある関係者の間では危機意識があったが、それを言い出すことができなかったと答えた人が多くいたことが、今回の調査でも明らかになっているという。

 では、福島の事故を無駄にしないために今、われわれに何ができるだろうか。 まずは何よりも事故の原因究明をより厳密かつ詳細に行い、事故と事故対応における失敗の責任の所在を明らかにすることが重要で、そこを曖昧にしたまま組織や仕組みをいじってみても、本当の意味で事故の教訓が活かされることはあり得ない。そして、それはわれわれが次の国家的危機の再発に向けて邁進する道を選んだことを意味する。

 われわれはなぜあれだけ酷い目にあっても、その原因と真摯に向き合い反省することができないのか。東日本大震災、福島原発事故から3年が経過したいま、事故に至る経過と事故への対応、そして事故後の原因究明や新たに作成された安全基準と原発の再稼働問題などから見えてくるわれわれ日本人社会および国民性・気質の危機への対応能力があらためて問われる。