2013/04/22

中国環境汚染-中国版イタイイタイ病か


( 2013.04.22 )

● 体が青黒く腫れる「トントン病」中国で20人近く死亡!


  「頭も膝も、全身の関節が痛い。私の体はどうなるのか」  。

 毛沢東のふるさと湖南省の村、瀏陽市鎮頭鎮に住む羅金芝さんは、カドミウム中毒で体調不良が続く。 昨年2月に大脳を手術した。まだ40代なのに、昼間もベッドで過ごす時間が増えた。
  近くの工場が半導体の材料をつくる過程で垂れ流した排水が地下水を汚染したせいだと言う。

  村で最初の死者が出たのは2009年。 腫れた体が青黒く染まっていた。 村人によると、これまで同じ症状で少なくとも20人近くが死亡した。
  日本の公害病、イタイイタイ病に似ていることから、「痛痛(トントン)病」と地元では呼んでいる。

  2004年に工場が生産を始めてから、地元で取れる野菜や木の色が変わった。 尿検査をすると、村人約3千人中500人余りから、基準値を超えるカドミウムが検出された。
 工場は2011年に撤去されたが、未処理の汚染物が残され、雨が降ると流れ出す。

  羅さんたちが昨年、土を地元から離れた江蘇省の大学に持ち込み検査をしてもらったところ、カドミウム汚染は工場閉鎖前よりもさらに進んでいた。
  「こんな汚れた土地で作った作物が売れると思う? 私たちは仕方なく食べている」  羅さんらは、集団移転や賠償を求めている。 
 
 村人たちは温家宝(ウェンチアパオ)前首相に直訴を企て地元警察に捕まったこともあるが、新たに首相となった李克強(リー・コーチアン)氏にも訴える機会を探る。









2013/04/10

中国環境汚染-家畜や魚…大量死、調べず安全宣言


( 2013.04.10 )

● 「調査する前から、まず安全宣言!」これが中国の基本?


 鳥インフルエンザ(H7N9型)の感染が広がりを見せている中国で3月以降、各地の川や湖で大量の動物の死骸が相次いで発見され、飲用水や食の安全に対する市民の不安が高まっている。
 風評被害の拡大を警戒する中国当局は、メディアに対し報道規制を強める一方、はやばやと「安全宣言」を発表するが、それが市民の不信感を一層募らせている。
  3月上旬から中旬にかけて、上海を流れる「黄浦江」の上流で約1万匹の豚の死骸が見つかったことが世界的なニュースとなった。

 浙江省の養豚業者が不法投棄した可能性が高いと伝えられたが、いまだに犯人を特定できていない。 しかし、上海市と浙江省は死骸を発見した直後に「ほとんどの豚の死因は「凍死」で、水質に影響はない」と発表した。

 3月中旬には四川省の川で約一千羽の「アヒルの死骸」が見つかった。 当局はこのときも「死因は不明だが、水質に影響はない」と発表した。
 さらに、4月上旬に「上海市の湖」と「重慶市の川」でそれぞれ大量の魚の死骸が見つかった。 死因について当局者は「電気ショックによる可能性が大きい」(上海)と地元メディアに説明している。 

 中国当局はこれらの問題について、メディアに対し独自取材をひかえるように指導し、記事を大きく扱わないように注文をつけているという。 地方紙記者によれば、動物の死因に感染症や水質汚染が疑われると発表すれば、社会不安が一気に広がり、担当者の責任が問われることもあるため、メディアをコントロールできる各地方政府は調べる前から「安全宣言」を出すことしか考えていないという。


 3月末、河北省滄県で井戸水が赤く変色したことが確認され、飲用した鶏が相次いで死亡し、近くの住民は飲用を控えたが、同県の環境保護局長は「水が赤いからといって安全基準を満たしていないといえない。 小豆を入れて炊けばご飯も赤くなる」と語ったことが問題視され、インターネットで批判された。4月になってから同局長は免職された。

 水質汚染を最初から否定する中国当局の姿勢に対し、市民の不安と不信感は一層高まっており、北京や上海などのスーパーでは外国製ミネラルウオーターや缶詰などを買い込む市民が増えているとの情報もある。