2011/02/20

中国汚染食品-地溝油事件


( 2011.02.20 )

● 下水の油から食用油で「究極のリサイクル」と自慢する中国人!


 「地溝油」とは、中国でレストラン、食品工場などの排水溝や下水溝などからすくい取った油脂を濾過し、精製した油のことで、食用油・食用ラードなどとして流通していることが社会問題となっている。
 日本では、「下水油(げすいあぶら)」として呼ばれることも多いい。

 中国国内では、2005年頃より「地溝油」の存在について噂はあったものの、2010年3月、全国紙である「中国青年報」が記事にしたことで、その存在が公になったと言われている。

 製造方法は、下水のマンホールの蓋を開け、表面に浮いているのり状(クリーム状)の油脂を柄杓の様なものですくい取り、桶に収集したものを、一昼夜かけて濾過した後、加熱、沈殿、分離などの工程を経て、食用油として取引される。

 もちろん、さすがの中国でもこれらの食用油は違法として摘発の対象になり、最高は死刑となる重罪である。 しかし、暴利(儲けが大きい)を得ることができることから、これらの犯罪行為は後を絶たない。

 原料費はタダ、市販されているサラダ油の通常価格の半額程度で流通しているとかで、新品のサラダ油と比べると、ややドス黒いものの、味や匂いでの判別はむつかしいという。
 
 「メーカー名」、「生産者名」、「生産日」の3つが記載されていないことから、中国では「三無商品(さんむしょうひん)」と呼ばれていて、レストランや、屋台、食品工場の揚げ物や油もの料理の調理過程で使用されたり、食品添加物として使用されることも多く、近年「食品汚染」として社会問題化している。
 
 中国の医学的研究報告によると、「地溝油」には発がん性物質の「アフラトキシン」や、劇薬とされる農薬の「666」、「DDT」が高濃度(中国での基準値以上)で検出されていて、健康への影響が懸念されている。

 中国での食用油(動物・植物油)の年間使用料は2,250万トン(統計年度不明)とされるが、生産量は2,000万トンに過ぎないことから、この差約200~300万トンが「地溝油」と推定されているが、実態は不明。 少なくとも中国国内で使用されている食用油の約1割以上が「地溝油」ではないかとも言われている。 中国では「地溝油」の存在をほとんどの人が知っているという。

 問題は中国国内だけに留まらず、「中国産加工食品として製造工程や添加物として使用されたものが、日本に輸入されている可能性は100%否定できない」とするジャーナリストもいる。

 現在、中国からの膨大な量の輸入食品についても、すべてを税関(水際)で検査、摘発するのは不可能である。 過去に、「毒入り冷凍餃子事件」のように、消費者が食べて初めて判明することも多いい。 したがって、心配ならば少なくとも中国産(加工品以外の中国に由来する原材料食品を含む)の食品は敬遠する(口にしない)ことしか防ぐことはできないであろう。




● 主な関連ニュース(抜粋情報)

( 2011.02.20 )

 2011年2月には、最高人民法院(最高裁)、最高人民検察院(最高検)、公安省が、有毒な粗悪油を加工・製造・販売するなどし、「国家や国民の利益に重大な損失を与えた」場合、最高で死刑を適用できるとした通知を公布した。
 ただ、地溝油は大きな利益をもたらすため、密造は後を絶たず、摘発を進める当局とのいたちごっこが続いている。


( 2010.08.02 )

  中国国内では、厨房(ちゅうぼう)の排水溝などにたまった廃食用油を違法に再加工した地溝油が「食用油」として、コスト減を図ろうとするレストランなどで流通。
 「食の安全」が問われる中、大きな社会問題となっている。



( 2006.08.02 )

 浙江省温嶺市新河鎮塘下村にある豚油加工企業「繁昌油脂廠」が、地溝油を製造していた現場に対して、浙江省台州市衛生監督所による立ち入り検査から地溝油の押収までの様子が紹介された。

 台州市衛生監督所の調査によると、繁昌油脂廠は「下水溝に溜まった油を原料として食用ラードを生産している」という通報を受け、調査を始めたところラードの包装缶にマークが入っていないことを発見し、関連規則違反として生産の一時停止命令を出したが、昼間は生産停止を装い夜間に操業をおこない、監督部門の退勤後、早朝まで操業していた。

 このため執行官らは繁昌油脂廠の監視と製品の追跡という両面作戦から販売店を割り出し、繁昌油脂廠の製品20数缶を発見し、サンプルを台州市疾病予防センターに分析を依頼し、食用ラードの油の酸化の指標である酸価値が国家基準(1.5mg)の11倍にあたる、1g当たり17mgを超えていることを突き止めた。
 また他の販売店から採取したサンプルからは、劇毒の農薬である「666」と「DDT」が、1kg当たり0.027~0.088mg検出された。